健康保険組合連合会は22日、「適正な薬剤使用に関する調査研究事業」の報告書を取りまとめ、公表した。薬剤の使用実態を院内投薬と院外投薬で比較検討したもの。レセプト1件当たりの総点数・薬剤点数は、病院の場合は院内が高く、逆に診療所では院外が高くなる傾向がみられ、両者の違いが際立っている。しかし平均値でなく中央値で比べると、全て院外の方が高いという結果である。また後発医薬品の使用状況を投薬点数に占める割合でみると、院内外とも病院より診療所が高い数字を示しており、特に院内では3倍以上もの大きな開きのあることが判明した。
調査対象は、首都圏を中心とする健保組合の03年10月・11月診療分の全レセプト15万0336件。また前年からの変動をみるため、同一健保組合の02年同月分のレセプト14万1904件との比較も行った。解析はこれらレセプトのうち、「投薬あり」の院内レセプトと院外レセプト、及びそれに対応する調剤レセプトを対象に実施した。
レセプト1件当たりの総点数をみると、診療所の場合は院内が1018点、院外が1263点で、院外が245点高く、病院は院内が1765点、院外が1658点で、逆に院内が107点高い結果となった。前年との比較では、診療所、病院とも院内は点数が増加しているのに対し、院外は減少しており、結果としては院内と院外の差は小さくなっている。
薬剤点数(注射を除く)は、診療所では院内が314点、院外が342点、病院は院内が723点、院外が630点。診療所では院外が28点高く、病院では逆に院内が93点高くなっている。
◇高い診療所の後発品使用
投薬のあるレセプトを対象に、後発品の使用を投薬薬剤点数に占める比率でみると、診療所の場合は院内が10.3%、院外が5.1%、病院の場合は院内が3.0%、院外が3.7%である。病院は院外での使用割合が高いのに対し、診療所は院内の方が高い。病院、診療所の比較では、院内外とも診療所の方が高く、特に院内で差が顕著である。02年との比較では、診療所の院内は増加していたが、病院の院内は減少、院外はほぼ横ばいだった。
また後発品が1品目以上含まれるレセプトの割合は、診療所が院内で38.8%、院外で28.8%、病院が院内で23.5%、院外で22.5%となっており、いずれも院内が高い。
使用される薬剤の種類をみると、高脂血症治療薬が5.08%、降圧剤が5.64%、抗アレルギー薬が3.44%、抗潰瘍薬が2.04%と続いており、生活習慣病をはじめとした慢性疾患に対する薬剤が上位を占めた。
銘柄別では、[1]メバロチン(2.40%)[2]リピトール(2.12%)[3]ノルバスク(2.08%)[4]ラミシール(1.45%)[5]アレグラ(1.38%)[6]クラビット(1.28%)[7]ブロプレス(1.26%)[8]アムロジン(1.05%)[9]アレジオン(0.91%)[10]ムコスタ(0.79%)――の順。前年との比較ではラミシール、ブロプレスがトップ10入りした。また、院内と院外で大きな違いはみられなかった。