第57回日本薬剤師会学術大会
日本ベクトン・ディッキンソン(日本BD)が提供する最先端のロボット技術で薬局をサポートする「BD Rowaシステム」。2015年に厚生労働省が示した「患者のための薬局ビジョン」では、対人業務の重要性が明記された。その後、薬剤師は調剤薬ピッキングなどの対物業務から、患者への服薬指導対応といった対人業務へのシフトが進められている。そうした中で同システムは全国100軒以上の薬局で導入され、調剤業務の効率化にも貢献している。
「BD Rowaシステム」開発のきっかけは25年以上前に遡る。ドイツの自動車整備工場のエンジニアだったRolf Wagner氏が、電車内で出会った薬剤師から「薬のピッキングや在庫管理に時間を取られて、ゆっくり患者と話をする余裕がない」との悩みを聞き、調剤ロボットのアイデアを思い付き、完成させたのが始まり。現在、世界53カ国で合計1万5000台以上が導入され信頼性も確立されている。Rowaは、開発者Rolf Wagner氏の頭文字から取って名付けられた。
自動で医薬品入庫と払い出しを行う薬局ロボットの「BD Rowaシステム」は、調剤室の広さや処方箋応需枚数、採用品目などの情報からその薬局に最適設定のカスタマイズが可能。3500箱を超える大量の薬剤が収納できるため、従来使用していた薬剤棚も不要。ロボットによる正確で素早いピッキング作業により、調剤のピークタイムも安心で、非薬剤師でも業務が行える。
処方箋に記載された薬剤情報を受信後、ロボットアームが棚に並ぶ薬剤をピックアップし複数の薬剤を自動的に払い出しするため、取り違えによるミスを低減。また入庫時に医薬品個装に表示されたGS1コードを読み取ることで、医薬品の有効期限や残数管理が可能となるため、廃棄コストの削減や棚卸作業の負担軽減なども期待できる。
同システムでは調剤薬局で取り扱う医療用医薬品について在庫の大部分の管理を一手に担えることも特徴の一つ。医療用医薬品等の入庫、ピッキング、在庫管理、陳列等の業務を省力化できることで、薬剤師は患者対応など付加価値の高い業務へのシフトを可能にしている。
国内で同システムを導入した薬局では、「作業効率が向上したことで、患者の薬局での待ち時間の短縮にもつながった」「類似名称の薬剤の取り間違えがないため鑑査の負担も軽減され、調剤ミスが起こりにくい」などの声が寄せられている。最近では、業務全般の自動化ニーズへの対応や薬剤を取り間違えない精度の高さなどが評価され、病院薬剤部でも導入が決定されるなど、活用の場を広げている。