第一三共の常務執行役員研究開発本部長兼研究統括部長の我妻利紀氏が5日、虚血性心疾患で亡くなった。59歳。我妻氏は、同社の事業を牽引する抗癌剤に用いられている抗体薬物複合体(ADC)の研究をリードしてきた人物で、同社は9日に異例のコメントを発表し、功績を称えた。
コメントでは、我妻氏が「抗体ベースの医薬による治療法が医学の未来であると強く信じて行動し、弊社をオンコロジーに強みを持つグローバル企業へと変革するきっかけを作った真の科学者」と評価した。
その上で、我妻氏が研究をリードして発明したADC技術に言及。「既に患者さんに届けているHER2を標的とする癌治療薬や、現在研究開発段階にある複数のADCの技術基盤を構築し、多くの患者さんに希望をもたらした」と称えた。
我妻氏が担当していた職務は、暫定的に常勤顧問の高崎渉氏が代理を務める。