島津製作所は7日、非臨床研究用の卓上型蛍光イメージングシステム「LuminousQuester NX」(ルミナスクエスターNX)を国内で発売すると発表した。同システムは、小型検体を用いた創薬研究をサポートするための卓上型の近赤外蛍光イメージングシステムで、治療や診断目的での使用は想定されていない。
同社は従来から、近赤外光イメージングシステム「LuminousQuester NI」(ルミナスクエスターNI)を創薬研究者に販売してきているが、より小型で実験室での取り扱いが容易なシステムが求められていた。今回発売されるルミナスクエスターNXは、ルミナスクエスターNIの特長である、室内照明下での自由度の高いイメージングを維持しつつ、実験室の卓上で使用することを可能にしたシステムとなる。
研究機関や大学病院、製薬業界での蛍光色素を用いた創薬研究では、「体内での薬物の分布とその経時的変化の検証」などの用途で、近赤外光イメージング技術が必要とされている。光に反応する蛍光試薬をマウスなどの検体に投与し特殊な光を照射すると、蛍光試薬が反応を起こす。その蛍光反応を画像化し検体内での薬の分布状態などを観察する。今回発売された装置は、こうした研究を支援するために開発された。
同システムの特長は、卓上で、小型サイズの動物を処置しながら撮影・計測することが可能なこと。また、独自の光学フィルタを採用することで、室内照明下で撮影・計測することができる。
さらに、検体に合わせてカメラ位置や向きを調整して使用することができるのも特長の一つ。視野サイズも被写体の全体から局部、組織まで、様々な視野サイズに対応した撮影・計測ができる。
外部光源と接続して使用する同システムは、外部光源との連携オプションを使用することでより幅広い研究をサポートする。観察光の短時間照射により薬剤の集積を静止画で観察したり、治療光の連続照射により薬剤の反応を動画で観察するなど、光照射と同期した撮影・計測が可能になる。
同社は従来から近赤外光イメージング技術を有しており、がん光免疫療法の研究への取り組みも進めてきている。2003年から、米国国立衛生研究所の小林久隆主任研究員(関西医科大学光免疫医学研究所所長)との共同研究や、国立がん研究センター東病院における共同研究等に取り組んでいる。
今後も同社は、光イメージング技術を用いて、創薬研究の効率化や、医薬品の安全性評価の精度向上に貢献していく方針だ。
同システムの希望販売価格は990万円(税込み)、販売目標は26年度末までに国内20台。