富士フイルムは14日、患者の検査結果や治療履歴など患者情報を包括的に記載する「サマリ」の文案を、生成AIの一つである大規模言語モデル(LLM)を用いて自動生成・提示する「サマリ作成支援AI技術」を開発したと発表した。同社はこの技術を、退院患者の情報をまとめた「退院サマリ」作成に応用し、富士フイルムメディカルが提供する診療文書管理・診療業務支援ソリューション「Yahgee」の新機能として、今夏からの発売を予定している
今回開発された技術は、LLMを用いて「サマリ」の文案を自動作成・提示するもの。オープンソースのLLMをベースに開発した独自のLLMを用い、「Yahgee」に蓄積されている診療情報を構造化する(文書を構成する要素を分解し、それぞれの関係性を一定の規則に則して整理する)ことで、文案を作成しする。
同社によると、複数の医師と同技術の有効性を検証した結果、同技術を使用することで、「退院サマリ」の作成に要する時間を平均42%、最大60%短縮できることを確認しているという。また、検証に協力した医師からは、サマリの文案としての妥当性や使いやすさなどの面で高い評価を得ているた。年間約2万件の「退院サマリ」を作成している大規模病院で導入した場合、年間約2700時間の作業時間削減効果が期待される。
なお「Yahgee」は、文書作成プラットフォームとして診療文書の作成を支援するシステムで、現在、国内の300以上の医療施設に導入されている。「退院サマリ」や手術記録などをデータベース化し、情報を相互リンクさせて効率的に管理することが可能となる。また、多彩なアシスト機能により入力の手間やミスを削減し、部門を超えたスタッフ間での情報共有と連携を強化。医療現場の作業負荷を軽減し、チーム医療を支援する。
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