島津製作所は23日、九州大学生体防御医学研究所の馬場健史教授と供に取り組んだ研究「超臨界流体法と液体法をインラインで一体化したユニファイドクロマトグラフィー」が第50回井上春成賞を受賞したと発表した。同賞は、大学や研究機関等の独創的な研究成果をもとにして企業が開発し製品化した、わが国の優れた技術について研究者および企業に対して贈られる。14日には、東京・丸の内の日本工業倶楽部会館で贈呈式が行われた。
超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)は、超臨界流体を移動相として使うことで高速かつ高効率に化合物を分離する手法。馬場氏と同社は、これまで限られた利用にとどまっていたSFCを親水性化合物へ適用する技術の開発に取り組み、脂溶性と親水性ビタミンの一斉分析に成功した。
その成果を基盤とし、SFCと液体クロマトグラフィーを融合した拡張分離モードである「ユニファイドクロマトグラフィー(UC)」を世界に先駆けて提唱し、適用範囲をメタボローム解析や残留農薬分析などへも広げた。さらに、超臨界流体抽出(SFE)後、連続してSFCにより分離分析を行う超臨界流体クロマトグラフ分析・分取・抽出システム「Nexera UC」を開発した。
近年、食の安全確保や病気の早期診断の観点から、より速くより正確な分析が求められている。しかし、食品や血液が対象となる分析には煩雑な前処理が不可欠なほか、空気に触れただけで酸化や分解してしまう成分もあるため、正確な分析が困難だった。「Nexera UC」は、煩雑な前処理なく全自動かつ高速で分析できるシステムとして、幅広い性質を持つ成分を分析できる。
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