厚生労働省は16日、社会保障審議会・医療保険部会・高額療養費制度の在り方に関する専門委員会がとりまとめた「高額療養費制度の見直しの基本的な考え方」を公表した。年齢にかかわらない所得区分の細分化による応能負担と限度額設定の考え方などを示しながら、「具体的な金額(限度額)等については、医療保険制度改革全体の議論を踏まえて設定すべきである」などとしている。
“基本的な考え方”によれば、「このような恵まれている制度を擁している国はほとんどなく、今後もこの制度を堅持していく必要がある」こと、そのためには「医療保険制度全体の改革を進めつつ、その中で、高額療養費制度の在り方について検討していくことが必要である」。
その上で、高額療養費制度の見直しを行っていく場合の基本的な考え方として、例えば「年齢にかかわらない応能負担に基づく制度の在り方」の項目のもと「現行の高額療養費制度の所得区分は、年収約370万円の方と年収約770万円の方が同じ区分に整理され、限度額も同じ取扱いとなっている」が、これは「応能負担の考え方を踏まえた制度設計という観点からは改善の余地がある」としている。
また、「70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例については(中略)制度の必要性自体は理解できるものの、医療費全体が増加している中で、現役世代の保険料負担軽減という観点からも、制度の見直し自体は避けられないという方向性で概ね一致した」としている。さらに、これについては、「具体的には、月額上限・年額上限のそれぞれについて、応能負担という視点を踏まえた限度額の見直しを行うとともに(中略)対象年齢の引き上げも視野に入れて検討すべきである」としている。
いずれも各ステークホルダーに配慮した表現であり、「改善の余地がある」や「すべきである」のような表現と、「概ね一致した」といった表現がどの程度の重みを示すのかは不明。
最後に、「施行時期については、国民・医療関係者への周知、保険者・自治体の準備(システム改修等)などを考慮すると、一定の期間が必要である。来年夏以降、順次施行できるよう、丁寧な周知等を求めたい」と締めくくっている。
専門委員会委員は次のとおり――天野慎介(全国がん患者団体連合会理事長)、井上隆(日本経済団体連合会専務理事)、大黒宏司(日本難病・疾病団体協議会代表理事)、菊池馨実(早稲田大学理事・法学学術院教授)、北川博康(全国健康保険協会理事長)、城守国斗(日本医師会常任理事)、佐野雅宏(健康保険組合連合会会長代理)、島弘志(日本病院会副会長)、袖井孝子(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事)、◎田辺国昭(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、林鉄平(日本労働組合総連合会副事務局長)、原勝則(国民健康保険中央会理事長)、山内清行(日本商工会議所企画調査部長)。敬称略、五十音順、◎は委員長
“基本的な考え方”:https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001613051.pdf
「医療機器・化粧品」の記事に関するご意見・お問合せは下記へ。
担当者:河辺
E-mail:kawabe_s@yakuji.co.jp
TEL:03-3866-8499




















