日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会は12日、2008年度の新薬算定ルールで導入された補正加算率の引き上げや原価計算方式の見直しに関する調査結果を発表した。それによると、有用性加算Iは加算率を引き上げた効果がうかがえた一方、有用性加算IIは新たな追加要件で2成分が取得したものの、加算率の引き上げ効果は見られず、むしろ06年4月~07年12月の加算率平均に比べて低くなっていることが明らかになった。
08年度改定では、画期性加算の加算率を「70~120%」、有用性加算Iを「35~70%」、有用性加算IIを「5~35%」に改め、有用性加算IIに関しては、臨床上有用な新規の作用機序を有することのみで取得できるよう要件が追加された。
その効果を08年4月~09年3月に収載された新薬で見たところ、有用性加算Iを取得した成分は前回の5成分から2成分に減少したが、加算率平均は28%から37・5%に上昇し、加算率の引き上げ効果が見られた。しかし、2成分とも外国平均価格を上回らず、このうち1成分は市場性加算Iと合わせた50%の加算率を適用しても外国平均価格調整の引き上げ対象となった。同委員会は、「特許期間中でも薬価改定で薬価が下落することにより、比較薬の薬価が低いことも要因の一つと考えられる」と分析している。
これに対し、有用性加算IIは12成分が取得したものの加算率の上限を引き上げた効果は見られず、むしろ加算率平均が前回の11・2%に比べて7・08%と低くなっていた。しかも加算を取得した12成分中9成分の加算率が下限の5%にとどまっており、限定的な効果しか表れていないことが分かった。
一方、原価計算方式では営業利益率±50%の範囲内でメリハリを付けた算定方式が導入された。その結果、算定された22成分の薬価は、ほぼ外国平均価格並みだった。このうち営業利益率をプラス算定されたのが9成分、マイナス算定されたのが3成分で、実際には±50%の範囲でメリハリが付いても営業利益率の最高率は25%にとどまっていた。
ただ、プラス算定分の薬価への反映度が不明なことから、同委員会が営業利益率を+30%として算定薬価を試算したところ、それによる販管費の算定額が増加した場合でも、薬価の引き上げ効果は15・4%程度に過ぎないことが明らかになった。同委員会では、「営業利益率プラス算定分の薬価への反映度を、有用性系加算の加算率と比較した場合、未だに評価が低いと言わざるを得ない」との見解を示した。