
山東氏
BME(Bio Medical Engineering)分野における、技術開発や技術交流等の促進と人材の育成を目的に幅広い助成事業を展開している公益財団法人中谷財団は24日、東京ミッドタウン八重洲カンファレンス5Fスタジオとオンラインのハイブリッドで、第18回中谷賞大賞を受賞した山東信介(さんどうしんすけ)氏(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻教授)を演者に「見えない代謝を捉える~次世代MRIが拓く未来医療~」をテーマにしたプレスセミナーを開いた。
山東氏は、中谷賞大賞を受賞した自身の研究内容を(1)背景:MRIとその課題、(2)研究:核偏極MRI-分子造影剤による代謝計測、(3)応用:核偏極MRIが実現する未来医療――3つの面から約30分講演した。
研究を始めた背景については、「体の中で起こる分子の化学反応とか酵素反応はよくわからないので、まとめて、今の世界では代謝と呼んでいるが、実は世界最先端の研究者でも、代謝が一体何を意味するのかというのはわかっていないのが現状」であり、そのために「この代謝というものがどういうものか知りたい」ということがあったと述べた。
MRIの課題については、「最大の課題は検出感度が低いということ」だとし、そのために「検出感度を高める技術として核スピン偏極という技術を用いた」と述べた。これはMRIを改良するのではなく、造影剤を改良するものであるという。
ただし、核スピン偏極は、「高感度化を維持できる時間が短い、言い換えると、造影剤の核偏極という状態を長く維持できない」という欠点があるとし、山東氏らのグループはその維持時間が800秒を超える分子寿命を持つものを開発し、さらに1000秒を超えるところまで持っていくことができたという。
最後に、こうした核偏極MRIによって、身体を傷つけずに代謝を計測することが可能になり、代謝が関係する病気の理解と治療、より正確な早期診断、個別化医療、抗がん剤の効果をより良く早く判断することも可能になると期待していると述べた。
続いて東京大学サイエンスコミュニケーションサークル「CAST」のメンバー3人と山東氏によるトークセッションが1時間程度行われた。
山東信介氏は今年2月、「革新的核偏極MRI分子プローブ群の創出―生体代謝イメージング・疾患診断への展開」で第18回中谷賞大賞を受賞した。受賞理由は、医療現場で広く使用されているMRIの課題である「検出感度の低さ」を解決し、MRIの潜在力である「生体内代謝を非侵襲的かつリアルタイムに可視化する」ことを実現するために、核偏極状態(=高感度化状態:従来比で数千~数万倍の感度)を長時間保持可能な「核偏極MRI分子プローブ」を世界に先駆けて創出することに成功したというもの。
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