
中森新社長
1日付で中堅CRO「ACRONET」の新社長に就任した中森省吾氏は、本紙のインタビューに応じ、2013年に売上高100億円を達成し、国内CROトップ5入りを目指す方針を明らかにした。中森氏は、親会社である伊藤忠グループのネットワークを積極的に活用する意向を表明すると共に、「今後は中国を無視できない」と、中国市場への参入にも意欲を示す。「成長への選択肢として、M&Aも排除していない。条件が整えば果敢に打って出たい」と積極的な姿勢を打ち出す中森氏は、CROを取り巻く難局に向かって、新たな舵取りをスタートさせた。
中森氏は、一貫して外資系製薬企業の開発畑を歩んできたが、治験依頼者の立場から一転して、CROのトップとして経営に携わることになった。「CRO業界は四半期単位のスピード感のある変化をしている。何が起こっても不思議ではない」と実感を話す。その上で、経営方針として、情報公開・戦略志向・成果主義を3本柱に位置づけ、13年に売上高100億円の達成を目指す考えだ。中森氏は「情報をオープンにし、明確な戦略を持ち、国内外の競争に勝っていくというメッセージを強く打ち出したい」と語る。
成長の中核となるCRO事業は、親会社である伊藤忠商事グループのネットワークを、積極的に活用していく方針だ。傘下の医療機器メーカー「センチュリーメディカル」「グッドマン」「日本エム・ディ・エム」、CSOの「IML」、医薬マーケティング支援企業の「エム・シー・アイ」など、伊藤忠ライフケア分野のグループ会社と連携を強化し、総合力でCRO事業を拡大させる。
また、中森氏は「今後は日本だけで勝負できるかどうかは疑問で、中国が無視できなくなってくる」と述べ、中国進出にも意欲を示す。CRO事業でアジア展開を進めるアクロネットは、中国展開については出遅れているのが現状で、商社である伊藤忠の中国ネットワークを生かしながら、中国進出をうかがう構えだ。
まだ現段階で、中国進出の時期、方針は未定だが、中森氏は「3年待ったら遅いと思う。どのタイミングで進出するかが課題になるだろう」と話している。