日本衛生材料工業連合会は、衛生材料の原産国の表示に関するガイドライン(GL)を策定した。GLは、消費者が衛生材料を選択するために、「どのような原産国表示が必要か」や「信頼性のある表示が可能か」という観点から取りまとめられたもの。
衛生材料の原産国表示は現在、日衛連会員各社の自主的な実施にとどまっている。しかし、衛生材料の原産国を表示する場合のルールについて、消費者から日衛連事務局に問い合わせが急増するなど、社会的に原産国表示の実施が求められている。また最近では、生産過程もグローバル化しているほか、海外生産品の輸入が急激に増加したため、原産国の情報管理が一層困難となって、一部に誤表示と思われるケースも見受けられるという。
そうした状況を受け、日衛連では原産国表示の考え方を整理する必要があると判断。日衛連法制委員会家庭用品関連分科会を事務局として、2008年6月から傘下の「全国衛生材料工業会」「全国紙製衛生材料工業会」「全国救急絆創膏工業会」「日本清浄紙綿類工業会」「全国マスク工業会」ごとに、適正な原産国表示の考え方を整理してきた。GLはそれらを踏まえて、各工業会の協力を得て策定したもの。
日衛連副会長で全国衛生材料工業会会長の岩月宏昌氏(イワツキ代表取締役社長)は、19日にGL策定について記者会見し、「われわれが扱う商品に原産国表示の義務はない。しかし、現在の製造過程は非常にグローバル化しているなどの問題があり、一定のルールを設けなければならないと考えた。また、それが消費者に安心して商品を使っていただくことにもつながると思う」とした。
GLでは、基本的考え方について、「衛生材料は原産国表示の義務はないが、原産国を把握している製品については、積極的に原産国を表示するとの考え方に立って取り組むことが望まれる」としている。
原産国の定義は、「当該製品の内容について、“実質的な変更をもたらす行為”が行われた国をいう」とし、“実質的な変更をもたらす行為”を、生産工程を基準として各品目ごとに定めている。例えば、綿棒では「脱脂綿と軸の接着工程」、絆創膏では「粘着加工工程」、マスクでは「成型工程(不織布マスク)」「縫製工程(ガーゼマスク)」などを挙げている。
岩月氏は、「昨年のマスクの供給問題などを通じ、われわれが供給する商品は非常に重要であり、安全で安心できる商品を安定的に供給することが役目だと感じた。今回策定したGLを、日衛連会員に周知徹底させると共に、消費者にも知っていただくことが大切だと思っている」と、GLを啓発していく方針を示した。