日本学術振興会は、人文・社会科学および自然科学にわたる分野で、将来の学術研究のリーダーを表彰する日本学術振興会賞受賞者25人を決定した。薬学では、生物系領域として東京大学大学院薬学系研究科教授の村田茂穂氏が受賞した。また、この25人の中から、日本学士院奨励賞の受賞者が選ばれ、3月1日に両賞の授賞式が同時に行われる。
村田氏は1969年生まれ、広島県出身。94年に東京大学医学部卒業、科学技術振興財団戦略的基礎研究研究員、東京都臨床医学総合研究所主席研究員などを経て、07年から東大薬学系研究科蛋白質代謝学教授に就任。受賞テーマは「哺乳類プロテアソームの多様性と生物学的意義の解明」となっている。
村田氏は生化学的、分子生物学的手法を用い、プロテアソームの機能分化とその構造に関与する種々の新規分子を次々に発見し、遺伝子改変動物の作製とその分析から、プロテアソーム形成の分子機構を解明することに成功した。
さらに、胸腺に特異的に存在する新規の「胸腺プロテアソーム」を発見。免疫系が「自己」と「非自己」を識別する、胸腺内選択の分子実態を世界で初めて実証した。
これらの業績は、癌や免疫関連疾患をはじめとする難治性疾患の病態解明や、新規治療法開発などにも道を拓くものと期待されている。