ハイリスク薬では加算新設
中央社会保険医療協議会総会は3日、内服薬調剤料への31日分以上の区分創設や、抗癌剤をはじめとする特に安全管理が必要な医薬品を対象とした薬剤服用歴管理指導料の加算を新設するなど、次期調剤報酬改定の内容を了承した。調剤基本料の特例については、該当要件を緩和すると共に点数を引き上げ、通常の基本料との格差を縮小させることも決まった。しかし、後発医薬品調剤体制加算における後発品調剤率の算出除外品目や、変更調剤の範囲の取り扱いについては合意に至らなかった。
次期改定における調剤や医薬品に関する主な対応は、[1]長期投薬に対応した調剤料の見直し[2]ハイリスク薬に関する薬学的管理・指導の充実[3]調剤基本料の特例の見直し[4]後期高齢者薬剤服用歴管理指導料の廃止[5]後発品の使用促進--の5項目。
調剤料については、一包化薬調剤料を「一包化加算」として内服薬調剤料の加算に移行させた上で、青天井に7日分単位で評価が高くなる仕組みを見直し、57日分以上を一定点数にする。内服薬調剤料は、15日分以上の点数を引き上げると共に、長期投薬の評価の上限を22日分から31日分まで上げる。これにより、一包化薬と他の内服薬との格差を是正する。また、投与日数にかかわらず一律となっている湯薬の調剤料を、7日分以下、8~28日分、29日分以上の段階評価に変更する。
ハイリスク薬については、薬学的管理・指導を充実させるため、薬剤服用歴管理指導料に点数を加算する。算定は処方せん受付1回ごと。調剤時に服用状況や副作用の有無を確認し、注意事項を詳細に説明することが条件になる。対象は抗癌剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、糖尿病用剤など入院の薬剤管理指導料の取り扱いと同様。
調剤基本料の特例は、現在600薬局程度が届け出ているが、近隣に比較的大きな病院が一つといった地域事情で、処方せん集中率70%の基準を越えるケースもある。そのため、時間外、休日、深夜の加算や在宅患者訪問薬剤管理指導料、介護保険の居宅療養管理指導費の処方せんを除いた場合に、受付回数が月4000回以下であれば、通常の基本料40点を算定できるようにする。また、現行18点の特例点数の水準を引き上げる。
後期高齢者薬剤服用歴管理指導料は、前回改定で一般の薬剤服用歴管理指導料と薬剤情報提供料を統合した評価項目として導入したが、一般と同様の取り扱いに戻す。
後発品対応については、改めて議論することになった。
問題となったのは、数量シェアに応じた3段階に見直す後発医薬品調剤体制加算について、厚生労働省事務局が、先発品より高薬価の後発品を調剤率の算出から除外することを新たに提案した点。想定しているのは、▽バルプロ酸ナトリウム▽塩酸アンブロキソール▽テオフィリン▽アモキシシリン▽セファレキシン▽過テクネチウム酸ナトリウム▽マルトース▽マルトース加乳酸リンゲル--の8成分、各成分とも1~2品目。
ほとんどが、従来から薬価の逆転が起きていたが、事務局の把握が遅れたため、この日の会合で表に出てきた。除外品目は薬価告示後に最終決定するが、三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)は「薬価を含めて整理し、お知らせいただかないと、今後の後発品使用促進のネックになる」と、除外品の明示を求めた。さらに、他の後発品使用に関連する点数にも影響が及ぶことから、他の診療側委員も慎重姿勢を示したため、結論を保留することとなった。