
左から 佐野院長 千葉細胞診断部部長 新田CYBO社長 合田CYBO取締役
株式会社CYBO(サイボ)と公益財団法人がん研究会有明病院細胞診断部らの研究チームは18日、東京都江東区有明の同病院の吉田富三記念講堂で記者会見し、世界初の臨床グレード自律型(人間の判定に依存しない)デジタル細胞診システムを開発したと発表した。成果は総合科学誌「Nature」にも掲載された。
このシステムは、世界初となる「ホールスライド・エッジ・トモグラフィー」という3D画像取得システムを搭載した「CYBO Scan」と、取得した3D画像データをもとに細胞を分類する「形態分化クラスター(CMD)」を算出する独自のAI解析ソフトから成る。
従来の顕微鏡観察では、3D構造の細胞診標本を観察する場合、顕微鏡のピントを動かし異なる深さを観察することが必要で、これをデジタル化して画像情報とすることは情報の網羅性(情報欠落のおそれ)やデータ量の巨大さなどの点で難しかった。しかし、「ホールスライド・エッジ・トモグラフィー」は、データ発生源(エッジ)の近くにサーバーを配置し、データを分散処理する「エッジコンピューティング」という技術を用いて「画質を犠牲にせず画像処理取得直後に画像データを大幅圧縮することで、巨大データのボトルネックを解消し、実用レベルの高速化を実現した」。一方、CMDは、各病変に対応する細胞を見分けるのではなく、細胞分類の確信度を示すもので、例えば、取得したある画像のある部分について、白血球0.071、表/中層細胞0.982、傍基底細胞0.089……とあると、これは表/中層細胞である確率が高いということになるということ。このAIモデルが抗体に替わる新しいバイオマーカーになるのだという。
がん研有明病院と国立大学法人筑波大学、学校法人順天堂大学、一般財団法人下越総合健康開発センター(新潟県新発田市)の4施設で実施したデジタル細胞診システムの他施設評価試験(1124例)では、識別能力を評価する指標であるROC-AUCが0.9(1が最も精度が高い)前後で、「臨床に求められるレベルの性能を示し」ている。
CYBO代表取締役社長の新田尚氏によると、システムのハード(CYBO Scan)とソフトは、現在研究機器として展開しているが、細胞診は様々な診療科で使うので、承認は別々に取得してゆくつもりだという。
記者会見の最初に、がん研有明病院の佐野武病院長が今回の研究成果発表の経緯について語った--「がん研では細胞診断部部長の杉山裕子先生がずっと精度管理等をされていたのですが、東大の合田圭介教授のスタートアップ企業と共同研究をすることによって画期的なものができるんではないかということで研究が始まり、主にがん研の材料を使いながら、そして杉山先生のあと千葉知宏細胞診断部部長も含めて研究が進み、その成果がNatureに掲載されました。今日はNatureに掲載されたというお披露目ではなくて、実際に研究成果がもう実用化されている、スタートアップとしてこの株式会社CYBOの診断機器がもう実用化に動き始めたということで、これは世界初のことですので、お集まりいただいた」。

記者会見の様子

細胞診システムの実演
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