薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は22日、武田薬品と武田バイオ開発センターが申請した進行・再発の結腸・直腸癌治療薬「ベクティビックス点滴静注100mg」の承認を了承した。3月の薬事分科会に報告される。
同剤の有効成分は、パニツムマブ(遺伝子組み換え)。効能・効果は、KRAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌。再審査期間は8年、原体・製剤とも劇薬指定、生物由来製品に指定される予定。海外34カ国で承認されている。承認条件として全例調査が付された。
同剤は、上皮細胞増殖因子(EGFR)の発現を抑える抗EGFR抗体医薬。KRAS遺伝子に変異がある患者では効果が低い反面、遺伝子変異のない野生型の患者に対しては効果が高く、臨床試験でも無増悪生存期間の延長が認められた。
そのため、「KRAS遺伝子野生型」のしばりを設け、事前に遺伝子型の変異を判別した上で、変異のない患者に投与するようにした。既に診断キットの審査が並行して審議されており、ベクティビックスの発売開始に間に合わせる予定だという。
一方、ノボノルディスクファーマの血液凝固第VII因子製剤「ノボセブン1・2mg、4・8mg、同HI静注用1mg、同2mg、同5mg」[有効成分はエプタコグアルファ(活性型)(遺伝子組み換え)]の効能・効果に、先天性第VII因子欠乏症患者における出血傾向の抑制を追加することが報告され、了承された。
このほか、帝人ファーマの抗II型志賀様毒素ヒト型化モノクローナル抗体「TMA‐15」のオーファン指定を取り下げることも了承した。同社が研究開発を中止したことによるもの。
TMA‐15は、腸管出血性大腸菌O‐157の感染などで発症する溶血性尿毒素症候群(HUS)の予防や、重篤化を阻止する薬剤として、03年にオーファン指定を受け、開発が進められていた。
しかし、▽海外第II相臨床試験の結果、エンドポイントであるHUSの発症率が低く、TMA‐15の有効性が確認できなかった▽海外第II相臨床試験および疫学調査試験を通して、HUSの代替指標、HUSの発症を予測するマーカーが見出せなかった▽開発継続を模索し、国内・海外の大手製薬企業からベンチャーまでコンタクトしたが、契約合意に至らなかった――などの理由で開発を断念した。