厚生労働省は、新薬10成分13品目を16日付で薬価基準に収載する。内訳は内用6成分8品目、注射3成分4品目、外用1成分1品目。3月31日の中央社会保険医療協議会で了承された。新たな薬価制度で初めて算定し、エックスフォージとレザルタスに配合剤の特例を適用した。なお、今回の収載品と同時に薬事承認されているビクトーザ皮下注18mgは、薬価算定組織と販売元のノボノルディスクファーマで、薬価の折り合いがついていないため、中医協に上がってこなかった。
3成分を原価方式で算定
▽サインバルタカプセル20mg、同カプセル30mg(塩野義製薬)=デュロキセチン塩酸塩を有効成分とする、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)。類似薬効比較方式Iで算定。企業が予測する市場規模は、初年度が7・8万人で34・8億円、ピーク時の5年目が54・7万人で244億円。
▽エックスフォージ配合錠(ノバルティスファーマ)=バルサルタンとアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする降圧剤。類似薬効比較方式Iに配合剤の特例を適用し、バルサルタンを成分とする自社のディオバン錠の0・8掛け価格と、アムロジピンベシル酸塩を成分とする後発品で価格が最も低い辰巳化学のアムロジピン錠の合計で算定。先発品2剤を合計した場合の1日薬価の7割弱に収めた。市場規模は初年度が7・1万人で27・7億円。ピーク時の5年目が109・3万人で426・5億円。
▽レザルタス配合錠LD、同HD(第一三共)=オルメサルタンメドキソミルとアゼルニジピンを有効成分とする降圧剤。類似薬効比較方式Iに配合剤の特例を適用し、両成分とも後発品がないため、自社のオルメサルタンを成分とするオルメテック錠と、アゼルニジピンを成分とするカルブロック錠の合計価格の0・8掛けで算定。市場規模は初年度が12万人で46億円、ピーク時の7年目が152万人で476億円。
▽エクア錠50mg(ノバルティスファーマ)=ビルダグリプチンを有効成分とする2型糖尿病治療薬。ジャヌビア、グラクティブに続くDPP‐4阻害剤で、類似薬効比較方式Iにより算定した。市場規模は初年度が2・2万人で9・4億円、ピーク時の10年目が65・5万人で274・9億円。
▽メトグルコ錠250mg(大日本住友製薬)=メトホルミン塩酸塩を有効成分とする2型糖尿病治療薬。成分、効能、剤形が同じメルビン錠が1961年に承認されているが、重篤な副作用を理由に投与量が制限されてきた。メトグルコは、欧米で認められている投与量まで増量できる特徴を持つ。薬価算定では、メルビン錠が収載から10年以上経過し、後発品も出ており、最類似薬として採用できないため、原価計算方式を適用。ただし、革新性が高くないため、営業利益率は平均より5%低い18・2%とした。市場規模は初年度が4・8万人で7・8億円、ピーク時の10年目が41万人で61億円。
「アロキシ」に有用性加算
▽アフィニトール錠5mg(ノバルティスファーマ)=エベロリムスを有効成分とし、根治切除不能または転移性の腎細胞癌を効能・効果とする。原価計算方式で算定し、営業利益率は平均に10%上乗せした21・1%。同一成分の心臓移植時の免疫抑制剤「サーティカン」より、1日薬価は7・5倍高い。市場規模は初年度が357人で9・8億円、ピーク時の10年目が1055人で30億円。
▽アロキシ静注0・75mg(大鵬薬品)=パロノセトロン塩酸塩を有効成分とする、5‐HT3受容体拮抗型の制吐剤。類似薬効比較方式Iで算定し、既存の5‐Hmg受容体拮抗薬では認められていない、遅発期の悪心・嘔吐に対する効能を示すことを評価し、有用性加算10%をつけた。市場規模は初年度が7・1万人で10・3億円、ピーク時の8年目が41・8万人で60・7億円。
▽ブリディオン静注200mg、同500mg(シェリング・プラウ)=有効成分はスガマデクスナトリウムで、効能・効果はロクロニウム臭化物またはベクロニウム臭化物による筋弛緩状態からの回復。原価計算法方式で算定した。筋弛緩薬と包接体を形成し、除去するという新たな薬理作用を有し、既存薬では無効だった深い筋弛緩状態の患者にも有効であることを評価。営業利益率に20%を上乗せした。市場規模は初年度が15・2万人で15・4億円、ピーク時の5年目が82・4万人で82・4億円。
▽テモダール点滴静注用100mg(シェリング・プラウ)=有効成分はテモゾロミドで、悪性神経膠腫を効能・効果とする。既にカプセル剤があるが、経口投与が困難な患者にも使用できる注射剤とし開発された。類似薬効比較方式Iで算定した。1日薬価はカプセル剤の2・24倍となる。市場規模は初年度が302人で5・6億円、ピーク時の6年目が368人で6・5億円。
▽ザラカム配合点眼液(ファイザー)=有効成分はラタノプロストとチモロールマレイン酸塩で、緑内障、高眼圧症を効能・効果とする。配合剤ではあるが、特例の条件に該当しないため、通常の類似薬効比較方式Iで算定した。市場規模は初年度が4・7万人で37億円、ピーク時の7年目が18・7万人で147億円。