医療機器メーカーのタニタは、骨粗鬆症の診断をサポートする、軽量・コンパクトな超音波骨密度測定装置「CS-800」を新発売した。
同装置は、1MHzの超音波を使った超音波パルス透過法と、超音波パルス反射法を組み合わせることで、高精度な計測を実現。さらには、計測部、表示部、プリンターが一体となったオール・イン・ワン設計により、コンパクト化と低価格化を可能にした。
骨量が減り、骨折しやすくなる骨粗鬆症の患者数は、わが国では約1000万人に上り、高齢者人口の増加に伴ってその数は増加傾向にある。厚生労働省が実施した「平成19年国民生活基礎調査」によると、高齢者が要介護となった原因の9.4%が「骨折・転倒」だった。骨折につながる骨粗鬆症を早期に発見し、予防するためには、定期的な検診が不可欠となる。
骨粗鬆症の診断基準の1つとなるのが骨密度で、「CS-800」では、超音波パルス反射法でかかとの骨幅を、超音波パルス透過法でプローブ(超音波を発生させ、受信する探触子)間の音速をそれぞれ計測。これらを組み合わせることで、骨密度を表す指標である骨梁面積率(BAR)を算出する。
同装置は、かかとの骨幅を正確に計測するため、個人の骨格の大小を考慮した正確な骨音速(SOS)を求めることが可能。X線方式の放射線被曝のような体への影響がなく、若年者や妊婦でも安心して計測できる。
「CS-800」の特徴は、[1]縦380×横300×高さ235mm(フットレスト装着時)、重さは約10kgとコンパクトな設計のため、持ち運びが容易[2]特殊な設備が不要なため、経済的に優れている[3]テンキーを使って性別や年齢を入力するだけの簡単操作で、オペレーション時間も短縮[4]持ち運びの便利さと約10秒の高速計測で、集団検診やスクリーニング検査などでの使い勝手を向上[5]計測したデータは、内蔵プリンターで出力できるほか、付属のソフトウエアをインストールしたパソコンへ転送して、データ管理することも可能――など。
税込み価格は207万9000円。病院など医療機関を中心に、当初は年間100台の販売を計画している。
骨密度測定装置の市場規模はほぼ横ばいで推移しているが、高齢者人口の増加に伴う骨粗鬆症の診断ニーズの高まりと、アンチエイジングクリニックなど、新形態の医療機関での利用などが見込まれている。同社では、医療・検診現場のニーズに応える利便性の高い「CS-800」を投入し、市場の活性化を目指す。