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セロトニンが妊娠時の糖尿病を抑制‐順天堂大グループがインスリン維持機構解明

2010年7月6日 (火)

 順天堂大学医学部の綿田裕孝教授らの研究グループは、妊娠期にセロトニン合成が活発になることで、膵β細胞の増殖が亢進し、妊娠に伴なって低下するインスリン作用を補っていることを突き止めた。今後、膵β細胞細胞におけるセロトニンの働きを促すことで、妊娠糖尿病の発生の抑制や、2型糖尿病の治療にも応用できる可能性が期待されている。

 従来から、妊娠に伴ってインスリンの効果が低下することが広く知られていた。健常妊婦の場合、膵β細胞の機能亢進が起こって、妊娠初期から末期にいくにつれてインスリン産生が多くなり、血糖値が上昇しないように調節されているが、この代償機構が不十分だと、血糖値が上昇し、妊娠糖尿病や妊娠糖尿病合併妊娠の原因となる。ただ、これまでは、その代償機構とされる膵β細胞の機能亢進メカニズムは不明だった。

 綿田氏らの研究グループは、その機能亢進メカニズムとして、マウスの膵β細胞を使った実験から、非妊娠期にはほとんど見られないセロトニン合成酵素が、妊娠期に極めて多量に発現しているこを見出した。ヒト妊娠期の母胎病理組織でも同様の結果が得られており、ヒトとマウスに共通する現象だと考えられている。

 そこで、培養した膵β細胞にセロトニンを投与する実験を行ったところ、膵β細胞の増殖が亢進した。逆に、妊娠期のマウスに、セロトニンの産生や作用を抑制する薬剤を投与すると、膵β細胞の容積増加が起きず、糖負荷試験時に血糖値が上昇することも判明した。

 この結果は、セロトニンが膵β細胞の増殖に関与し、血糖値の恒常維持に働いていることを示すもので、妊娠期におけるセロトニン合成不全や作用不足が、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠の原因となり得ることが明らかになった。

 成人の糖尿病の大部分を占める2型糖尿病でも、膵β細胞からのインスリン分泌が十分でないことが分かっている。特に日本人の場合、欧米人に比べインスリン分泌能自体が低いことが知られており、比較的軽度のインスリン抵抗性の存在下で、糖尿病になりやすいとされている。

 それらのデータを踏まえて、研究グループでは「膵β細胞でセロトニン作用を促進させることが、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠の新規治療法になり得る」とすると共に、「代償機構としての膵β細胞機能亢進は、2型糖尿病の発症にとっても重要。その際に、セロトニンによる膵β細胞容積増加機構をうまく利用できれば、新たな2型糖尿病治療法の確立にもつながる可能性がある」としている。

 研究成果は、米国の科学誌「Nature Medicine」オンライン版で発表された。

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