沢井製薬の澤井光郎社長は9日、大阪市内の本社で開いた中間決算説明会で、今年9月に一部で報じられたキョーリン製薬ホールディングス(HD)の買収提案に関して、「当社がキョーリン製薬HDに対して、資本提携を通じた戦略的経営統合を提案していることは事実」と認めた。一方で、「現時点では、先方から前向きな回答を得ていない」とし、「引き続き、継続的に友好的な協議を進めるべく、お願いをしていきたい」との考えを示した。今期の有価証券取得で、キョーリン製薬HDの株式購入も認めたものの、今後、交渉が難航した場合、株式公開買い付け(TOB)に踏み切るかどうかについては言及しなかった。
今回の提案意図について、澤井氏は「新薬創出が難しい業界環境の中で、領域を特化した存在感のある新薬事業と、規模が大きく患者や医療機関から信頼されるジェネリック事業の両者を、ともに展開するハイブリッド型製薬企業モデルを、スピード感をもって構築できるのではないかと考えた。キョーリン製薬は新薬事業、ジェネリック事業を展開しており、当社とのシナジーが高く、両社の企業価値向上につながる最善の策」と語った。
また、沢井製薬側の提案内容に対して、キョーリン製薬側からは、前向きではないものの、回答があったことも明らかにした上で、「協議はできる限り続けていきたい」とした。
同社は12月初旬に、バイオシミラーの開発を含む新たな分野への進出、M&Aや提携などの様々な成長戦略について説明会を行うことを計画しており、キョーリン製薬HDとの経営統合に向けた、何らかの動きが示されるものと見られる。説明会の開催について澤井氏は「キョーリン製薬に限らず、沢井製薬の企業方針などをきちんと話をしたいということ。海外からの進出もある中で、日本の製薬業界では新たなビジネスモデルが必要だという思いの部分を紹介したい」と述べるにとどめた。