厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は10日、国内導入を促す未承認医薬品や適応外医薬品の第2弾として、74件を選定した。これにより、継続となった5件を含め、積み残しとなっていた133件が決着したことになる。厚労省は、ライセンスを持つ企業から特段の意見がないかを確認した上で、年内にも製薬企業に開発を要請する。
検討会議では、関連学会や患者から承認の要望があった374件の必要性を審議。これまでに、必要性が高くないと判断した31件や、海外承認等がない99件、承認済みの3件を篩い分けた。残った241件のうち108件については、検討会議で医療上の必要性が認められ、厚労省は既に開発要請(91件)、開発企業の募集(17件)を行い、承認申請に必要な試験の妥当性や公知申請への該当性の確認などを行うこととしている。
第1回開発要請時点で検討が残されていた133件については、専門作業班(WG)が医療上の必要性について評価。海外承認なし11件、承認済み1件を篩い分け、残りの121件のうち74件を必要性が高いとし、42件を必要性が高くないと判断。5件を検討中とした。
医療上の必要性が高いと認めた74件については、年内には製薬企業に2度目の要請を行う予定だ。
また、開発要請を受けた企業が、適切な開発計画を立てているかどうかも確認。10月の前回会合以降、新たに20件が薬事承認を取得し、32件が治験届を提出したことなどを厚労省が報告した。
検討会議では、精神・神経WGが医療上の必要性の基準に該当しないと判断した、フルボキサミンマレイン酸塩について、WGで再度検討することも確認した。
判断の理由が、小児の用法・用量設定を行うための臨床試験で、症例数の確保が困難などだったため、委員からは、医療上の必要性が高く、欧米で使われていながら、国内では使えない医薬品を早く使えるようにしようという検討会議の趣旨を踏まえると、「治験が難しいというのは理由にならない」など、医療上の必要性という観点から検討するよう求める意見が出た。
4件を公知申請へ
また、この日の会議では、第1弾で開発要請していたもののうち、エタンブトール塩酸塩、リファンピシンなど、適応外薬4件の適応拡大に関する公知申請の該当性に関する報告書をまとめた。今月末に開く予定の薬事・食品衛生審議会医薬品第1、第2部会で公知申請の事前評価を行い、了承されれば保険適用となる。
4件の成分と追加効能は次の通り。
▽エタンブトール塩酸塩=非結核性抗酸菌症を追加
▽リファンピシン=非結核性抗酸菌症を追加
▽メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム=ネフローゼ症候群を追加
▽リュープロレリン酢酸塩=中枢性思春期早発症を追加