厚生労働省は、昨年9月から年末まで実施した、新たな多剤耐性菌の実態調査に関する調査結果を取りまとめた。NDM‐1産生型の多剤耐性肺炎桿菌が2例見つかった。同菌の国内報告は合計3例となる。
実態調査は、医療機関が通常診療の中で確認した、腸内細菌科の多剤耐性菌の検体を、国立感染症研究所が解析する方式で行った。
感染研が受け入れた計153株の耐性遺伝子は、IMP‐1型メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生型が72株、KPC型カルバペネマーゼ産生型が2株、NDM‐1型メタロ‐β‐ラクタマーゼ産生型が2株で、残り77株はIMP‐2型やVIM‐2型を含む5種類の耐性遺伝子が全て陰性だった。
NDM‐1型は、11月の途中集計の段階では1株だったが、その後、埼玉県内の医療機関に、消化管出血の治療で入院した80代の女性患者で新たに見つかった。
この症例は、最近の海外渡航歴がなく、症状が軽快して10月下旬に退院した後に、別の疾患で死亡している。12月下旬に連絡を受けて感染研で分析し、今月21日に結果が確定した。同じ病院に入院する他の患者からは、同様の多剤耐性肺炎桿菌は検出されていないという。
また、KPC型の2株は、大阪府の医療機関に入院中の40代の男性から検出した同一患者の菌株で、11月時点で明らかになっていた。