
長谷川社長
武田薬品は11日、2011~13年度までの中期計画を発表した。昨年公表した10-12中計の基本方針を引き継ぎながら、大型品中心から多様な製品構成に転換し、さらに新興国市場の販売力強化に向け、中国へ積極投資する。その上で、来年8月に米国で予定される2型糖尿病治療薬「ピオグリタゾン」の後発品参入を受け、業績の底と位置づける13年度まで減収減益傾向が続くと予想。最終年度に売上高1兆2600億円、営業利益2400億円、純利益1600億円の確保を目指す。
11-13中計では、主力4製品中心の構成を大幅に転換する方針を打ち出し、最終年度の13年度には売上高に占める新製品比率を28%、さらに15年度には41%まで引き上げるとした。都内で記者会見した長谷川閑史社長は、「製薬産業が技術革新の端境期を迎えている中で、結果的に収益構造をシフトせざるを得ない」と指摘した。
同時に、新興国市場の販売力強化、進出地域の拡大を急ぎ、特に中国市場に300億円程度の積極的な先行投資を行う。また、研究開発では、重点疾患領域の「代謝性疾患」「癌」「中枢神経疾患」に続き、新たに「免疫・炎症性疾患」を位置づけた。関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病に取り組み、免疫効能を視野に入れた癌領域との連携に、資源を集中投下する。
その上で中計は、来年8月の米国におけるアクトス後発品参入により、13年度まで減収減益傾向が続くと予想。業績の底と位置づける13年度には、売上高1兆2600億円、営業利益2900億円の確保を目指すとした。長谷川氏は、「米国と日本で新製品が伸びており、製品導入などを合わせることで、15年度には10年度レベルの業績に十分戻せる」と強調した。