2年度目を迎える長期実務実習が既にスタートしているが、薬学教育協議会の病院・薬局実務実習調整機構委員会(中央調整機構)は、東日本大震災による影響などに配慮し、薬局で同時に受け入れる学生2人枠を、東北地区内では暫定的に制限を外すことを決め、関係団体等へ協力を求めた。日本薬剤師会森昌平常務理事は、「どうしても調整がつかなければ仕方ない」と受け入れる意向を示している。
大震災により被災地やその周辺の学生が、第3期実務実習の中断を余儀なくされ、文部科学省は3月14日付の通知で、中断した実務実習に対しては弾力的な対応を求めた。関東地区でも、第3期を中断した大学も多い。中央調整機構では先月下旬の会合で、「弾力的とはいえ、安易に単位を認めるのではなく、中断した学生が不利益とならないよう、残りの6年次で大学側は補講等の措置をとるなどの努力をする」と意見集約した。
また、今年度の実習は日程通りに行うが、東北地区内の一部は実習施設の被災や交通事情が悪いなどで、第I期から開始するのが困難な状況がある。そこで、学生の実習希望施設に関し、▽東北地区内で被災していない病院は受け入れ人数を増やす▽薬局では同時に受け入れる学生枠2人を暫定的に取り外す▽東北地区外の実習施設が被災地の学生を積極的に受け入れる--ことなどを関係団体に要望することとした。
日薬は「2人以内」を主張していたが、今回、未曾有の大震災により多大な被害が発生し、復旧の渦中であることから、実習に影響が出ることを避けるため、暫定的な取り決めとして、これを認めた。