中央社会保険医療協議会(会長:森田朗東京大学大学院教授)は3日、東日本大震災の影響を十分に配慮しながら、医療経済実態調査を進めることを合意した。これを受けて厚生労働省は、当初の予定通り、調査を今月実施する。これまでと同様に、10月には調査実施小委員会で調査結果が公表できるメドが立った。
実調をめぐっては、被災地の機関や薬局を対象から外しても、調査全体に大きな影響を及ぼさないと、厚生労働省は判断していたが、2012年4月改定の見送りを求めている日本医師会の鈴木邦彦委員が、前回総会で調査の中止を主張し、調査票の発送直前で作業が止まった。
そのため、この日に臨時総会を開いて決着を図ったところ、実調が次期改定の実施を前提としたものではないことなどを確認した上で、鈴木委員が譲歩した。
今年の実調では、震災で甚大な被害を受けたり、郵便物の配達が困難な地域や、原発事故の避難区域などの施設には、調査票を送付しない。その他の被災地の施設が対象に抽出された場合には、事前に調査協力の了解を得る。
また、医薬品不足、長期処方の自粛、被災地からの患者受け入れなど、通常と異なる状況が全国的に見られることを踏まえ、震災が医療機関や薬局の経営に与えている実態を、自由記載方式で収集する。
さらに、被災区域を除いた特別集計や、未回収データの補完を行うほか、メディアスデータの時系列分析などによって、震災の影響を可能な限り把握する対応も講じる。
このほか鈴木委員が、中医協による被災地視察を提案したところ、森田会長は、「真摯に受け止めたい」と前向きな姿勢を示した。