今夏の電力不足に備えた東京・東北電力管内の節電で、ほとんどの薬局は、使用電力が前夏最大時比15%減に制限される大口需要家には該当しないものと見られるため、節電行動計画の作成が求められる。厚生労働省医薬食品局総務課は、薬局について「7~9月の節電に、可能な限り徹底して取り組んでいただくことが必要」とする事務連絡を、関係自治体へ先月末に示して周知を促している。
政府が電気事業法に基づき強制的に使用電力を制限するのは、契約電力500キロワット以上の大口需要家のみ。大型ショッピングセンターに入っている薬局などは、施設全体として該当する可能性はあるが、節電義務がかかるのは電力会社と契約する事業者で、テナントにどの程度の節電枠が割り当てられるかはセンター内での調整次第だ。
一方、契約電力500キロワット未満の小口需要家は、最大使用電力の前夏比15%抑制に向け、自主的な目標設定と行動計画に基づく取り組みを政府は奨励している。
資源エネルギー庁は先月、小口の行動計画について、業態別の標準フォーマットを公表した。このうち薬局に比較的近いのは「卸・小売店」。照明を半分程度に間引きしたり、使っていない部屋などは消灯するほか、高めの温度設定、保冷設備の節電などを対策に挙げている。
また、計画を検討する際には経済産業省のコールセンターを活用できる。照会先は、東北電力管内が東北経済産業局資源エネルギー環境部電力使用制限班、東京電力管内が関東経済産業局資源エネルギー環境部電力事業課。
厚労省の担当者は、「法律で強制するものではないが、協力をお願いしている。昨年頑張って節電したところほど、削りしろが少なくて大変だと思う」と話す。