【バイエル】4年後に世界製薬企業のトップ10へ‐開発パイプライン充実し成長持続

会見するフィビヒ氏(左)とバイエル薬品・グート社長
独バイエルヘルスケア医療用医薬品事業責任者のアンドレアス・フィビヒ氏は、大阪市内で記者会見し、2015年に向けて「世界の製薬企業のトップ10入りを目指したい」と語った。今後4~5年間は大型製品の特許切れはなく、経口抗凝固薬「リバロキサバン」(海外商品名:ザレルト)を筆頭に、充実した開発パイプラインを持っており、「自社製品だけでの成長を、今後5年間は望める」と自信を示した。
医療用医薬品事業の年間売上高は現在、約105~108億ユーロ。世界の製薬企業のうち、12~13番手に位置するという。今後、15年に向けて売上高を約150億ユーロに引き上げ、売上高の3分の1は新製品で補いたい考え。その根拠として、「この10年間、競合他社は大型製品の特許切れを経験してきたが、私たちは今後4~5年は大きな製品の特許切れはない。その上、強力な開発パイプラインを持っている」と説明した。
特に、心房細動患者における脳卒中発症予防の適応について、日米欧で11年上半期に承認を申請したリバロキサバンは、ピーク時に20億ユーロ以上の売上高を見込み、「グループ全体を変革し得る製品になる」と期待を語った。このほか癌領域、眼疾患領域を中心に、有望な製品の臨床開発を進めている。
各地域別に見ると、近年は、薬価引き下げの影響によってヨーロッパでの売上高が減少。アメリカの売上高も伸び悩む中、日本や中国、アジア太平洋、ラテンアメリカでの売上高が伸びているという。11年第1四半期の医療用医薬品部門の売上高は、これらの増減が相殺する格好となり、前年同期比0・9%増の26億4900万ユーロとなった。
売上高全体の約15%弱を占める日本市場は、「バイエルにとってアメリカに次ぐ2番目の大きさの市場で、成長に向けて重要な市場」とフィビヒ氏は解説。革新的な医薬品が高く評価される日本市場への投資を、今後も惜しまないとした。
フィビヒ氏は、医療用医薬品事業を成長の道筋に導くことができた要因として、▽研究開発領域を絞り込んだ▽適切なライセンス活動を行った▽研究開発プログラムの合理化に成功し、開発期間を短縮できた‐‐という3点を提示。一方、国内外の新薬メーカーが高い関心を示すジェネリック医薬品事業は、「私たちの遺伝子にはない。やりたくない」と述べ、検討課題にもなっていないと語った。