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くすりの適正使用協議会(RCJ)は医師が処方する医薬品について、処方の元となった病気の知識も含め、患者に分かりやすく解説する情報提供システムづくりに取り組むことになった。病気そのものに対する理解を深めてもらい、処方薬を患者が納得して、適正に服用できるようにすることが狙い。現在、高血圧症の薬物治療について必要な情報の検討を進めており、7月にもRCJホームページで公開する計画。さらに糖尿病、乳癌の情報づくりも進める方針だ。このシステムづくりは、あくまでRCJとしての提案であり、関係者の取り組みにつなげたいとしている。
9日に開催されたRCJ総会では、2007年度の事業計画、予算が承認された。予算は総額で1億5100万円(前年度より600万円減)で、情報提供システムづくりには、150万円を投入する。
RCJは、患者向け医薬品情報提供文書である「くすりのしおり」をメーカーと協力して作成してきた。しかし、処方された医薬品が十分に服用されず、治療効果が上がらないケースも見受けられるという。
そこでRCJでは、処方された医薬品と自分自身の病気を、患者に関連づけて理解してもらえれば、納得した上での服薬につながると考え、病気の知識を含めた情報提供システムづくりを進めることにした。「くすりのしおり」と関連づけたシステムにすることで、薬と病気の両面から理解を深めてもらう考えだ。情報を介して、医師・薬剤師などの専門家と患者が話し合うきっかけとなることも期待している。
06年度事業では、患者数が多い高血圧症について、日本医師会の協力も得て医師3人、薬剤師1人、患者1人によって、情報の内容や提供方法などの検討を進めてきた。まだ検討途中だが、提供される情報は、高血圧症の原因、治療方法、必要な生活習慣の改善、薬物療法、臨床検査などの項目からなっている。
このうち薬物療法については、どのような治療薬があり、どういう選択基準で使われるのかなどを、できる限り分かりやすく解説した内容になるという。
また07年度には、糖尿病と乳癌についても検討を行う。RCJの海老原格理事長は、「全ての疾患について取り組むつもりはなく、こういうことができるという提案をして、世の中に取り組みを広めていければと思っている」と、事業の趣旨を説明している。