求職、求人の双方を支援
大阪と名古屋に拠点を置くキャリア・ポジション。薬剤師の人材紹介を手がける会社として創業し、今年で9年目を迎えた。代表取締役の西鶴智香氏は、それぞれの薬剤師が持つキャリア観を聞き出し、その価値観に応じた職場を紹介することにこだわってきた。一方、企業側の経営戦略を主に人材面から支援することにも力を入れてきた。こうした腕が見込まれ、最近は企業での社員研修や経営相談、大学でのキャリア教育の依頼が増えてきたという。
薬局の経営相談にも対応
人材紹介業は机と電話があれば成り立つといわれる業種だけに、ともすれば求人、求職側の要求を単純にすり合わせるだけで成立してしまう。しかし、プロの人材エージェント(代理人)として西鶴氏は、単なるマッチングだけを行う人材紹介会社にはしたくないと、強い自負を持っている。
同社には、西鶴氏を含め2人の「米国CCE認定GCDF-japanキャリアカウンセラー」が存在し、薬剤師のキャリア設計に踏み込んで相談に応じている。仕事に何を求め、何によって満足を得るのか。価値観は一人ひとり異なる。じっくり話を聞きながら、将来設計を描く作業を手伝う。その上で、個々のキャリア観に応じた転職先を紹介している。これは求人求職のミスマッチ防止にもなる。
薬剤師の資格を持っていれば誰でもいいという時代は終わり、薬剤師は選別される時代になったという。選ばれる薬剤師になるためにも、自分はどのようなキャリアを歩みたいのか、意識することが重要だ。
最近は薬局や病院から「リーダークラスの薬剤師が欲しい」と依頼されることが増えてきた。「薬剤部を立て直すために意欲的な薬剤部長が欲しい」「社長の右腕となって薬局の経営を支える薬剤師が欲しい」。そんな依頼が少なくない。
このほか、OTC販売の拡充を計画する薬局から「ドラッグストアでのOTCの仕入れや販売を経験し、調剤もできる薬剤師が欲しい」という依頼もある。また、小規模薬局から「社内の業務マニュアルを確立するため、中堅以上の薬局でその経験を持つ薬剤師が欲しい」との依頼もある。求人側のニーズは多種多様だ。それに応じたキャリアが重視される。
西鶴氏は、求人側の薬局と人材戦略を共に考える。それが経営相談へと発展し、その延長線上で新人や幹部社員の研修を依頼されることも多い。
その背景について西鶴氏は、「薬局も差別化の時代になった。ただ門前に出せばいい時代は終わった。それを経営者も肌身に感じている。このままではいけない、なんとかしないといけないと思っている。経営環境が変わってきている」と話す。
財務面に詳しくない薬局の社長には税理士を紹介したり、経営のアドバイスを送ったりするなど、社外取締役のような役割も担う。薬剤師不足が原因で薬局の閉鎖を考えざるを得ない企業から相談を受け、M&Aを仲介することもある。
「変化に敏感な薬剤師にカウンセリングを行い、さらなるキャリアアップを支援している。変化に鈍感な薬剤師には危機感を与え、このままではいけないことを自覚してもらう。薬局の経営者にはアドバイスを送る。そうやってこの業界の健全な発展に貢献していきたい」と西鶴氏は語る。
キャリア・ポジション
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