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製薬産業政策、国主導時代は終焉か

2013年07月12日 (金)

 厚生労働省が6年ぶりに「医薬品産業ビジョン」をまとめた。国内製薬企業の中長期的な道筋を示すもので、今回示された将来像は、その時の状況に適した企業が生き残る“適者生存”であった。

 振り返ると、2002年に策定された初のビジョンは、医薬品産業を欧米と互角にわたり合えるリーディング産業に育成すると明記。10年後の将来像を、メガファーマやスペシャリティファーマなどに分類し、新薬開発力を高める観点からM&Aや提携戦略を強く要求し、「少なくとも2~3社はメガファーマとして発展することが期待される」と再編を促した。

 これが導火線となり、国内再編劇の第一幕が切って落とされ、特にアステラス製薬、第一三共の誕生は、ビジョンが打ち出すメガファーマの実現に向けた一歩となった。

 07年8月には新ビジョンが策定され、国際競争力強化のみならず、新たにドラッグラグ問題の解消やアンメットニーズへの対応を求めるものとなった。その上で、国際競争の新たなステージに向けた医薬品産業の将来像をメガファーマやグローバルニッチファーマ等と位置づけ、グローバルで通用する産業を強く意識したビジョンに見直した。

 これはバイオ医薬品を軸にした業界再編の第二幕につながり、まず国内中堅の協和発酵とキリンファーマが合併。「日の丸抗体連合」として、世界に打って出る姿勢を鮮明にした点で、これまでの再編劇とは全く違う方向性が示された。

 新生「協和発酵キリン」の誕生は、新ビジョンが打ち出すグローバルニッチファーマの実現につながった。さらにエーザイの米MGIファーマ、武田薬品の米アムジェン日本法人、米ミレニアムと、数千億円規模の買収劇が相次いで繰り広げられ、国内製薬企業を取り巻く環境は様変わりした。

 一方、今回の13年ビジョンは、「熾烈な創薬の国家間競争に十分に対応できていない」としながらも、「規模にかかわらず、それぞれ特徴を生かした企業にならなければ生き残れない。ファーマ類型を超えて、勝ちパターンのビジネスモデルを自ら作り上げる時代に入っていく」と従来の認識を転換させた。今後の医薬品産業についても、「過去に正解のない領域に入っていく」と表現した。

 これまでのビジョンがいずれも業界再編を促したことを考えると、今回はトーンダウンした印象も受けるが、逆に医薬品業界が自ら再編等の戦略を決定するという当然の方向性を促したとも言える。

 産業競争力会議で武田薬品の長谷川閑史社長は、医薬品業界の再編論が政府内にあることに言及し、「メリハリの効いた薬価制度を本格実施することで、その方向に向かうものであり、政府が無理に進めるべきものではない」と国主導の再編をけん制した。まさに国が産業政策を主導する時代は終わりを告げつつあるということを、今回ビジョンの適者生存という将来像は示しているのかもしれない。




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