CSO事業を開始して6年目を迎えるIMLは、営業経験のある異業種人材を採用し、MRとしてじっくり育てるのが持ち味だ。昨年からは癌・中枢神経系領域での要請も増え、事業が拡大してきた。CMRが基幹となり、親会社の伊藤忠商事の基盤を生かして新たな医療サービスを創出し、製薬企業のニーズに幅広く応えられるCSOを目指していく。小野宏取締役CSO事業本部本部長に今後の方向性を聞いた。
IMLのキーワードは、“MRの育成”だ。営業経験のある異業種人材を採用し、早期戦力化する教育体制を作り上げてきた。
製薬企業の新人研修に近い教育プログラムを組んでいる。未経験ではあるが即戦力MRとして送り出すのがわれわれの役目で、MR認定試験に対応した研修はもちろん、営業現場で必要不可欠なマナー、そして疾患を学べる研修を実施している。そのほか、医師の招聘、調剤薬局での研修では、医療従事者の方々と触れあえる場として、MRが医療人として何をなすべきかを考える機会も用意している。
MRの質にとことんこだわっていく。医師の先にいる患者さんをどこまで想像できるかが、今後MRに求められてくる。研修段階からそれをイメージしてもらえるよう、知識の吸収にとどまらず、アウトプットを意識した実践的な研修も行う。講師陣を医師役としたロールプレイでは、実際の営業現場を再現している。
教育の成果は表れてきている。2年連続でMR認定試験合格率100%を達成した。一人前のMRへと育てるために費やす時間は、4カ月で550時間と、他のCSOに比べても多い。じっくり育てるという教育スタイルが確立し、クライアントである製薬企業からも高い評価をいただいている。
CMRが成長していくには、段階を踏む必要があると思う。当社では、まず幅広い疾患領域で事業展開している製薬企業に派遣し、オールラウンドMRとして育てる。一定の経験を積んだ後で、癌・中枢神経系疾患の専門領域にステップアップするというキャリアプランを提供している。
昨年から、癌・中枢神経系領域のプロジェクトに配属できるようになり、事業の幅が広がってきた。癌領域の薬剤を担当しているCMRは、自分たちがIMLの先駆者という高い意識を持っており、頼もしく思う。今後は、専門領域の教育体制をいかに整備していくかが重要課題となるだろう。医療従事者の方々からのご意見を仰ぎながら、今年から教育カリキュラムの開発にも着手していく方針だ。
また、CMRがそれぞれのプロジェクトに派遣されている期間においても、プロジェクトマネージャーが中心となりフォローしていく。メンタル面をケアするコーディネーターや、医師への情報提供などアウトプットを意識したトレーニングを行うフィールドトレーナーが継続的に対応する。
将来的には、製薬企業の幅広いニーズに対して、いろんな形で問題解決できる会社が目標だ。親会社の伊藤忠商事が持つ商社の発想を、新たな医療サービスに結びつけ、MRに付加価値をつけたサービスの提供を計画している。例えば、MRとITを連動させた“MR+e”や、患者の服薬遵守を目的としたサービスなど、既に進行しているものもある。
CMRが根幹となり、3年を目標にIMLならではの特色あるサービスを追求していく。現在、CMRは220人体制だが、早急に300人体制に強化する。まだまだ若い会社でもあるため、CMRの年齢層の幅を広げ、プレイヤーだけでなく、マネジメントを担える人材も育成し、組織として成長を図っていきたい。
この記事は、薬事日報2013年5月8日号に掲載された記事です。