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【2013年回顧と展望】研究開発型製薬企業の真価が問われる時代が到来した‐製薬協常務理事

2013年12月26日 (木)

 この数年、業界としてはコンプライアンスの徹底を重点課題として取り組んできたが、今年は残念ながら高血圧治療薬の臨床研究事案に関連して、問題事例が発生し大きな社会問題として取り上げられ、業界側にも厳しい対応が求められた。今後は健全・公正な競争を行いつつ、今年が制定元年となったコード・オブ・プラクテイス(COP)に基づいた、より一層のコンプライアンス徹底を目指す必要があると考えられる。

 また、今年は「企業行動と医療機関等との関係の透明性ガイドライン」に基づいた自社指針に沿った公表が行われた最初の年となった。批判的見方も少なくなかったものの、評価する論調もあり、厖大な事務量にもかかわらず会員各企業がまず第一歩をしっかりと踏み出せたことは良かったことと、関係各位に感謝する次第である。

 いずれにしても、現代社会において、企業活動の透明性確保はコンプラインスの徹底と共に、製薬企業の研究開発等の活動を社会に理解していただく上で大切なものであり、今後確実に定着させていかなくてはならない。

 新薬の薬事承認については、第1次安倍政権時代に開始された“ユーザー・フィー”を原資とした審査体制整備によって医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査ラグが短縮し、欧米並みの迅速な審査が定着した。また、企業側も国際共同治験を活用するなど申請の早期化に向けた取り組みに努力し、ドラッグ・ラグの短縮は着実に進み、アクセスの改善に対し評価する声も聞かれるようになった。

 保険医療の薬価基準制度をめぐる分野では、中央社会保険医療協議会(中医協)において、昨年から長期間にわたり医療技術評価の導入、長期収載品の薬価のあり方、新薬の薬価算定等について検討が行われてきた。その結果は先日「次期薬価制度改革の骨子」として、取りまとめられたばかりである。

 本稿においては時間的制約もあり、概略を述べるにとどめざるを得ないが、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の制度化が次回改定以降に持ち越されたほか、新薬の薬価算定ルールについても多くの事項で従来のルールを厳しく見直す提案が行われた。中医協で議論の上まとめられたものとはいえ、長期収載品の特例的引き下げのルール化も含め全体的に厳しいものとなったと受け止めている。

 このほか知的財産問題などを含め、研究開発型製薬産業を取り巻く環境は厳しい状況にあるが、コンプライアス遵守はもちろんのこと、企業活動の透明性を確保しつつ、社会や関係者の理解を得ながら、国内のみならず世界にも通用する新薬を創出していくことが責務となってきていることは明らかであり、今後ますますこれに全力で取り組んでいくことが求められるものと思われる。


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