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米食品医薬品局(FDA)は、3月28日、女性の性感染症(STI)を診断する家庭用検査キット(Visby Medical Women’s Sexual Health Test)の販売承認をVisby Medical社に付与したと発表した。この承認によって、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、トリコモナス症の3種類のSTIに対する検査キットが、初めて処方箋なしで購入できるようになる。検査は症状の有無にかかわらず使用でき、結果は約30分で判明する。
今回の承認は、2024年の初の家庭用梅毒検査キットの承認、および2023年の性器クラミジア感染症と淋菌感染症の初の診断検査キットの承認に続くものだ。なお、後者の診断検査キットは、HIV以外のSTIで初めてFDAにより承認された、自宅でのサンプル採取が可能な検査だった。
この1回使い捨てタイプの家庭用検査キットであるVisby Medical Women’s Sexual Health Testには、自己採取用膣スワブと電源付き検査装置が含まれている。電源付き検査装置はVisby Medical社のアプリと安全に連動し、検査が完了すると、アプリ上に検査結果が表示される仕組みとなっている。
米疾病対策センター(CDC)のSTIサーベイランス報告書によると、2023年に米国で診断・報告された性器クラミジア感染症および淋菌感染症の症例数は220万件を超える。さらに、CDCの治療ガイドラインによると、トリコモナス症は世界で最も蔓延している非ウイルス性のSTIであり、米国での罹患者数は約260万人に上ると推定されている。通常、これら3種類のSTIは全て抗菌薬で治療できるが、治療せずに放置すると、不妊症などの深刻な健康障害を引き起こす可能性がある。
今回の承認は、Visby Medical Women’s Sexual Health Testが、クラミジア・トラコマチスの陰性サンプルを98.8%、陽性サンプルを97.2%、淋菌感染症の原因菌であるNeisseria gonorrhoeaeの陰性サンプルを99.1%、陽性サンプルを100%、トリコモナス・ヴァギナリスの陰性サンプルを98.5%、陽性サンプルを97.8%の精度で同定したことを示すデータに基づいている。
FDAは、この検査キットで陽性の結果が出た女性は医師に相談すべきだと注意。また、陰性の結果であっても、他の検査と同様に、この検査キットでも偽陰性および偽陽性の結果が出る可能性があるため、症状がある・最近のSTI罹患歴がある・またはその他の懸念がある女性は、追加の検査を受ける必要があると呼び掛けている。偽陰性の結果は、効果的な治療が遅れ、感染拡大につながる恐れがあり、偽陽性の結果は、不必要な治療や正確な診断および適切な治療の遅れにつながる可能性がある。
FDA医療機器・放射線保健センター(CDRH)の体外診断機器室長であるCourtney Lias氏は、「STI検査へのアクセス拡大は、早期診断と、より多くの診断を行うための重要なステップであり、治療の増加と感染拡大の抑制にもつながる可能性がある」と、同局のニュースリリースで述べた。(HealthDay News 2025年4月1日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-grants-marketing-authorization-first-home-test-chlamydia-gonorrhea-and-trichomoniasis