旭川医科大学病院薬剤部は、昨年4月から入院患者を対象にバイアルに残った抗がん剤を2人目以降の患者の調製にも使用する「薬剤バイアル最適化」(DVO)を開始した。その効果を評価したところ、年間で600本以上のバイアル削減につながり、約500万円の薬剤費を節約できたことが明らかになった。国全体の薬剤費削減に貢献できることや環境への負荷を軽減できることに取り組みの意義があるとしている。
米薬局方要件で無菌性確保
海外では、複数の患者の抗がん剤調製に使用できる大容量のマルチドーズバイアルが上市されているのに対し、日本には1回の使用を想定したシングルドーズバイアルしか存在しない。そのため多くの病院は、1回の調製ごとにバイアルに残った抗がん剤を廃棄し、使用したバイアル本数単位で保険請求している。病院にとっては、廃棄分の費用も保険で賄えるため損失にはならないが、国の視点からは廃棄している抗がん剤を有効活用することによって薬剤費を削減できる余地が残されている。
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