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【関節リウマチ治療】メトトレキサート投与量が絶対的に不足”生物学的製剤の有効性発現に影響

2008年7月18日 (金)

 生物学的製剤の登場で大きなパラダイムシフトを迎えた関節リウマチ(RA)治療。2008年には、新たにRA治療薬として「アクテムラ」「ヒュミラ」が次々と上市され、新薬ラッシュが続くが、臨床現場では副作用や経済的負担等の問題点が浮上しているのも事実だ。都内で開かれた日本炎症・再生医学会のディベートシンポジウムでは、生物学的製剤の使い方をめぐって激しい議論が行われた。その中で、生物学的製剤に併用する抗リウマチ薬「メトトレキサート」(MTX)の投与量が絶対的に少ないとの指摘が相次ぎ、生物学的製剤の有効性を十分に発揮させるため、MTXの承認用量を週8mgから、欧米並みの週15mgに増量を求める意見で一致した。

 岡寛氏(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)は、多くの使用経験から効果と安全性プロファイルが確立されているインフリキシマブについて、「効果の減弱例が見られる」と指摘し、生物学的製剤の問題点として「併用するMTXの投与量」を挙げた。実際、生物学的製剤+MTXの骨破壊抑制効果をみた海外の大規模臨床試験では、いずれも週15mg以上のMTXが投与されている。

 これに対し、国内で行われたインフリキシマブの市販後調査結果では、MTXの投与量は平均週7.3mg、エタネルセプトの市販後調査結果では、MTXの投与量が平均週6.2mgと欧米の半分以下にとどまっており、有効性も低くなっている。

 岡氏は、「MTXの投与量が半分であることが生物学的製剤の有効性が十分に発揮できていない理由」と指摘。「インフリキシマブの治療では、MTXの投与量を週15mgまで増量することが必要」と提言した。その上で、インフリキシマブの増量試験を実施した自験例を踏まえ、「有効性を獲得するためには(承認用量の体重当たり3mgから)506mgへの増量が必要」との考えを示した。

 西岡久寿樹氏(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)も、「TNF阻害剤を用いた治療はMTX抜きに語れない」と強調。生物学的製剤の効果は、かなりの部分をMTXに依存しているとの認識を示した。

 その上で、「アンカードラッグであるMTXの用量を増やさなければ、生物学的製剤の有効性が十分に発揮されず、患者に大きな経済的負担をかける安易な使用を招く」と危機感を示し、承認用量である週8mgの早急な規制撤廃を強く求めた。

 討論の中では、川合眞一氏(東邦大学医療センター大森病院膠原病科)が「MTXの投与量を8mgにとどめていることは問題」との認識を示し、「当局はMTXの増量に当たって、製薬企業に治験の実施を求めているが、海外の豊富なエビデンスをもとに、治験を実施せず週15mgを認めてもらう方向しかないのではないか」との考えを述べた。

 一方、山中寿氏(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)は、「MTXの用量増は望ましいが、現状では6mgや8mgから開始し、徐々に15mgにまで増やしている」と述べ、「最初からMTXを15mgで開始することの安全性は担保されていない。そこは注意すべきだ」と指摘した。

 田中良哉氏(産業医科大学第一内科)は、「インフリキシマブについては、MTXの用量を増やしても効果があまり変わらないとのデータもある」との見方を示した上で、「用量以前にMTXが投与されている患者が少なすぎる。まずMTXを使うべき」と訴えた。ただ、実際にMTXが投与されているケースは、承認用量よりも少ない2mgや4mgが圧倒的に多いことを問題視。「効果が出ない用量でMTXを使うのはもってのほか」と安易な使用にクギを刺した。

寛解後も患者に痛み”満足度に視点置く治療を

 また討論では、生物学的製剤による劇的な関節破壊の抑制が、必ずしも臨床的な効果につながっていない現状も明らかにされた。山中氏は「関節リウマチの患者は千差万別だが、ほとんどの大規模臨床試験は限られた患者を対象としており、日常診療とは乖離がある」とし、実際に東京女子医大を受診したRA患者で大規模臨床試験の組み入れ基準に当てはまる患者は2%しかいなかった事実を披露。「日常診療と大規模臨床試験は分けて話をする必要がある」との見解を述べた。

 西岡氏も「関節破壊が抑制され、レントゲンでは寛解と判定されても患者の痛みは残っている」と強調。「これから次々と登場してくる生物学的製剤を何のために、どう使っていくのかを考えなくてはいけない。患者の満足度に視点を置いた治療プログラムを考えることが必要」と問題提起した。




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