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オーファンドラッグも数多く臨床の場に
厚生労働省が16日付で承認した新医薬品では、国内初の抗EGFRモノクローナル抗体「アービタックス」、抗VEGFアプタマー「マクジェン」といったバイオ医薬品と共に、先天性代謝異常、骨ぺージェット病、ヘパリン起因性血小板減少症に対する希少疾病用医薬品も数多く登場した。
アクトネル錠:味の素、エーザイ
ベネット錠:武田薬品
「アクトネル錠17・5mg」「ベネット錠17・5mg」(一般名:リセドロン酸ナトリウム水和物)は、米プロクターアンドギャンブルが合成したビスフォスフォネート系骨粗鬆症治療薬。今回、味の素と武田薬品が共同開発を進めていた骨ぺージェット病の追加効能を取得した。
骨ぺージェット病は、骨代謝の異常亢進によって骨の変形や肥厚を呈し、疼痛や骨折、骨肉腫に結びつく原因不明の骨代謝疾患。国内での患者数は極めて少ないため、希少疾病用医薬品に指定され、優先審査によるスピード承認に至った。
骨ぺージェット病の追加効能取得に当たって、他の骨粗鬆症治療薬との識別性を高めた新包装「骨ぺージェット病用包装」も用意する。
ビオプテン顆粒:アスビオファーマ
「ビオプテン顆粒2・5%」(一般名:塩酸サプロプテリン)は、天然型テトラヒドロビオプテリンを化学合成し、製剤化した先天性代謝異常治療薬。先天的な遺伝子異常による高フェニルアラニン血症患者の血清フェニルアラニン値を是正する。新たにテトラヒドロビオプテリン反応性高フェニルアラニン血症に対する追加効能を取得。今回の適応症は、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けている。
アービタックス注:メルクセローノ、ブリストル・マイヤーズ
「アービタックス注射液100mg」(一般名:セツキシマブ)は、独メルク、米イムクロン、米ブリストル・マイヤーズ・スクイブが共同開発した抗EGFR(ヒト上皮成長因子受容体)モノクローナル抗体。EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を適応症に、切除不能な転移性大腸癌(結腸・直腸癌)のセカンドライン治療、それ以降の治療におけるイリノテカンとの併用療法で使用できる。
ゾシン静注用:大鵬薬品、富山化学
「ゾシン静注用2・25、同4・5」(一般名:注射用タゾバクタムナトリウム・ピペラシンナトリウム)は、β‐ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタムとペニシリン系抗生物質ピペラシンを1:8の力価比で配合した配合抗生物質製剤。肺炎をはじめ、敗血症、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎に対して効果を発揮する。
イリボー錠:アステラス製薬
「イリボー錠2・5μg、同5μg」(一般名:ラモセトロン塩酸塩)は、アステラス製薬が創製したセロトニン5‐HT3受容体拮抗剤。セロトニン5‐HT3受容体を選択的に阻害することにより、消化管運動亢進に伴う便通異常を改善すると共に、大腸痛覚伝達を抑え、腹痛と内臓知覚過敏を改善する。男性の下痢型過敏性腸症候群の治療薬として承認を取得した。
グラセプターカプセル:アステラス製薬
「グラセプターカプセル0・5mg、同1mg、同5mg」(一般名:タクロリムス水和物)は、免疫抑制剤「プログラフ」の有効成分タクロリムスを含有する徐放性製剤。1日2回投与の既存製剤に対し、1日1回投与を可能したもの。腎、肝、心、肺、膵移植における拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応、移植片対宿主病の抑制を効能・効果として承認を取得した。欧州では、2007年6月から「アドバグラフ」の製品名で販売されている。
ミコブティンカプセル:ファイザー
「ミコブティンカプセル150mg」(一般名:リファブチン)は、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、RNA合成を抑制することで抗菌作用を示すリファマイシン系抗酸菌症治療薬。結核や非結核性抗酸菌症、HIV感染者のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス症に効果を発揮する。国内で初めて,HIV非感染者の非結核性抗酸菌症への適応が認められた。
ノバスタンHI注:田辺三菱製薬
スロンノンHI注:第一三共
「ノバスタンHI注10mg/2mL」「スロンノンHI注10mg/2mL」(一般名:アルガトロバン水和物)は、選択的抗トロンビン剤で、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制で追加承認を取得した。 HITII型は、致死性の血栓塞栓症を合併する可能性がある重篤疾患。既に世界10カ国でアルガトロバンがHIT治療薬として承認されている。国内ではHITII型を効能・効果とする治療薬が存在しなかったことから、医師主導治験の実施で今回の承認取得に至った。
マクジェン硝子体内注射用:ファイザー
「マクジェン硝子体内注射用キット0・3mg」(一般名:ペガプタニブナトリウム)は、眼内の病的な血管新生を特異的に阻害する加齢黄斑変性症治療薬。国内初の抗VEGFアプタマー医薬品として承認された。眼球内に投与する注射剤のため、眼底に確実に到達させることができ、視力の低下を抑制する。
ナゾネックス点鼻液:シェリング・プラウ
「ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用,同112噴霧用」(一般名:モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物)は、米シェリング・プラウが創製した国内で初めて1日1回投与が認められた鼻噴霧用ステロイド薬。グルココルチコイド受容体に対する親和性が高く、強力な抗炎症作用を持つ。ナゾネックスは、簡便な1日1回投与により、第2世代抗ヒスタミン薬と比べてアレルギー性鼻炎の症状を有意に改善する。既に世界100カ国以上で承認を取得している。
ディフェリンゲル:ガルデルマ、塩野義製薬
「ディフェリンゲル0・1%」(一般名:アダパレン)は、ガルデルマが開発した尋常性ざ瘡(ニキビ)治療の外用剤。有効成分のアダパレンが表皮細胞の核内レチノイン酸受容体(RAR)に結合し、毛包上皮細胞の分化を抑制することで、ニキビの前段階症状を抑制。その後の炎症性皮疹も減少させる。ニキビを適応に外用レチノイド製剤が承認されたのは国内で初めて。
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