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相良暁氏
小野薬品は5日、9月1日付で代表取締役副社長の相良暁氏が社長に就任する人事を発表した。社長の福島大吉氏は代表取締役会長になり、海外の研究機関などから新薬候補物を導入するアライアンス業務に専念する。
福島社長が就任したのは6月27日のことで、僅か2カ月での代表取締役異動は異例。同社では異動の理由として、「グローバル研究戦略立案室」を新設し、福島社長自らがリーダーシップをとって取り組んできた、新薬候補化合物の海外からの導入するアライアンス活動を、より積極的に進めるためとしている。
新社長の相良氏は、1978年3月大阪市立大学商学部卒業後小野薬品に入社。06年6月取締役、07年12月常務取締役、今年2月取締役副社長を歴任。その後、4月に取締役副社長経営統轄本部長、6月に代表取締役副社長経営統轄本部長に就いていた。1958年生まれの49歳。
小野薬品は、売上高の長期修収載品比率が90%を超える。これに加えて、09年3月期第1四半期決算を終えて、糖尿病性神経障害治療剤「キネダック」の後発品の影響、気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「オノンカプセル」、気管支喘息治療剤「オノンドライシロップ」の競合品との競争激化で、想定を上回るマイナス影響が出たことで、パイプラインの充実が大きな課題になっている。
国内で申請中の開発品には、骨粗鬆症治療薬「リカルボン錠」、癌化学療法に伴う悪心・嘔吐治療薬「イメンドカプセル」、DPP‐4阻害剤の2型糖尿病治療薬「グラクティブ錠」があり、203年先の新製品上市に向けた見通しは明るい。
ただ、5010年先に目を向けると、「海外に通用する薬剤を継続的に上市するには、まだまだパイプラインが不十分」。パイプラインの充実には、自社の研究力強化はもちろんだが、海外の研究機関との連携を、より積極的にスピーディに進めることが必要不可欠になっている。
そこで、8月1日付で「グローバル研究戦略立案室」も立ち上げた。研究畑一筋に歩んできた福島社長が室長となり、新薬候補化合物を導入するための活動支援や遺伝子資産の有効活用、バイオ医薬品創製のための最先端技術の導入、バイオベンチャーとの提携推進策の立案でリーダーシップをとることになった。
海外の研究機関とのアライアンスを積極的に推進するには、福島社長の海外での活動比重が高くなることは避けられないことから、国内の社長業の遂行が困難となるため、相良副社長が社長に就任することになった。
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