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会見する後藤理事長
インターネットを活用した医薬品販売の環境整備を目指す、NPO法人の日本オンラインドラッグ協会(東京都港区)は、インターネットで医薬品を販売する事業者が、安全・安心な医薬品販売を行うための必要条件を、ガイドラインにまとめ発表した。インターネット等の情報通信技術を用いて購入者の状態を細かに把握し、情報提供を行った上で専門家が販売の可否を判断するなど、「対面の原則を担保すること、店頭と同等あるいはそれ以上に安全・安心であることの2点に焦点を絞った形で、最低限クリアすべきと思われる項目を明記した」(後藤玄利理事長)としている。
薬事法改正における「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会」が、先月4日にまとめた報告書の中で、医薬品の通信販売(インターネット販売)について、「販売時及び相談時の情報提供が行われるものであれば、一定の範囲の下で認めざるを得ない」との認識が示された。しかし、情報通信技術を活用した販売は、第三類医薬品については適当としているものの、第二類医薬品は「対面の原則が担保できない限り、販売を認めることは適当ではない」と、否定的な見解となっている。
後藤理事長(ケンコーコム社長)は、「対面の原則を満たす要件は明確にされていない。いわば未定義の状況であり、このままでは通信販売が、合理的な理由なく否定される可能性が大きい。われわれは誰もがどんな医薬品でも、ネット上で販売できるようにと主張しているのではない。例えば海外からのリスクの高い医薬品の個人輸入とか、違法ドラッグの販売や乱売などは阻止しなければならない」とした上で、「現実に対面の原則を担保し、医薬品のネット販売を行っている薬局・店舗は数多く存在する。情報通信技術も今後さらに発展していく。ネット販売の規制は、これらの中小事業者の事業継続を阻害し、通常の買い物が困難な生活弱者の購入機会をも奪うことにつながる」と、ガイドライン制定の背景を説明した。
「対面の原則を担保し、安全・安心な医薬品インターネット販売を実現する自主ガイドライン」では、ネット上で対面の原則を担保していくため、▽購入者の状態を申告させたり、質問して相手の情報を吸い上げる▽専門家が医薬品の適切な選択や、適正使用に資する情報提供を行う▽専門家が当該医薬品の販売可否の判断を行う▽相談応需について、専門家による情報提供が行われてることが、購入者から確認できるような仕組みを設ける▽医薬品をリスクごとに分かりやすく表示(陳列)する▽必要に応じ、受診勧奨を行う▽安全・安心の担保のために適宜、都道府県への相談を行う――などを挙げている。
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