米食品医薬品局(FDA)は2月24日、スタチンとは異なる作用を持つ新しいタイプのコレステロール低下薬としてNexletol(一般名ベンペド酸)を承認したと発表した。
AP通信の報告によると、Esperion Therapeutics Inc.(以下、Esperion社)によって開発されたNexletolは、リピトール(一般名アトルバスタチンカルシウム)およびクレストール(一般名ロスバスタチンカルシウム)などのスタチン製剤で忍容性不良または効果不十分であった患者の代替薬となるという。
Nexletolは、LDLコレステロール(LDL-C)を低下させる必要がある成人のヘテロ接合性家族性高コレステロール血症患者または動脈硬化性心血管疾患が確定している患者の治療に適用される。推奨投与量は180mgの1日1回経口投与である。食事の有無にかかわらず服用可能であり、最大耐用量のスタチンの併用が推奨されている。
Nexletolは、肝臓に作用してLDL-Cの産生に必要な酵素を阻害する。スタチンも肝臓でコレステロール産生を阻害するが、Nexletolとは作用機序が異なるため、同薬とスタチンを併用することによりLDL-Cがさらに低下する。
Nexletolの有効性と安全性は、最大耐用量のスタチン療法を受けている成人のヘテロ接合性家族性高コレステロール血症患者または動脈硬化性心血管疾患患者3,009人を対象に実施された2件の多施設共同ランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験で検討された。いずれの試験においても、LDL-Cの低下度が最も大きかったのは、投与開始後4週間目であった。
最も多かった副作用は、高血圧、筋肉痛および関節痛である。重篤な副作用は腱断裂である。また、妊婦または授乳中の女性は、Nexletolが子どもに悪影響を及ぼす可能性があるため服用すべきではないとされている。
Nexletolの臨床試験に協力した米ベイラー医科大学のChristie Ballantyne氏は、Nexletolは「スタチンの優れた代替薬」ではあるが、いまだにスタチンが第一選択薬であることに変わりはないとの見解を示している。(HealthDay News 2020年2月24日)
AP News Article
https://apnews.com/528e7e964a18429240638fcf2308bd1d
(参考情報)
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2020/211616s000lbl.pdf