島津製作所は、20日に新型コロナウイルス検出試薬キットを新発売する。従来のPCR法と同等の感度・特異度を示し、検査時間がこれまでの半分に当たる約1時間、PCR装置を使って96検体を検査した場合でも1時間半以内に行うことができる。臨床検査会社や保健所への提供を想定しており、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売は予定していない。
現状のPCR法による新型コロナウイルスの検出では、鼻咽頭拭い液などの検体からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要であり、多量の検体を迅速検査する妨げになっていた。
同試薬キットは、検体に含まれる蛋白質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、検体を直接PCRの反応液に添加できる。キットには必要な試薬が全て含まれており、試薬と検体の調製、前処理、反応、検出という全工程を約1時間で完了できる。煩雑なRNA抽出作業が不要のため、人的リソースを削減でき、人為的なミスを防止できる。
キットの使用には、PCR装置や分注ピペット、小型遠心機などの機材や、検体などの取り扱い技術を要するため、ドラッグストアや個人への販売は行わないとしている。
同キットの開発は、ノロウイルスなどの病原体検出試薬の開発・販売を通じて培った島津製作所独自のアンプダイレクト技術を活用し、国立感染症研究所のマニュアルに沿って行われた。