提携に向け握手するマツキヨHDの松本
社長(右)と日本調剤の三津原社長
マツモトキヨシホールディングス(マツキヨHD、社長松本南海雄氏)と、日本調剤(社長三津原博氏)は30日、業務提携に向けた協議開始を発表した。ドラッグストア業界では同業による競合激化に加え、明年6月から施行予定の改正薬事法で、登録販売者制度の導入による異業種の参入が予想されるなど、競合環境が一層厳しさを増している。そうした状況を踏まえ、専門性強化・調剤事業強化を戦略目標に掲げるマツキヨHDと、大型門前薬局から面分業対応の薬局への展開を目指し、子会社に後発医薬品メーカーを持つ日本調剤とが、店舗開発や商品仕入れなど、両グループの経営資源を活用することで合意した。マツキヨHDでは、明年4月をメドに事業運営会社を設立し、これに日本調剤も出資する方向。
マツキヨHDは、6月末時点のグループ店舗数が1004店舗。最大の強みは、1都1道2府35県に展開する店舗網。一方の日本調剤は6月末で253店舗を展開し、調剤店舗の運営ノウハウに加え、後発医薬品メーカー(子会社の日本ジェネリック)を持ち、先発医薬品の仕入れにも力を持っている。
都内で会見した両社トップは、提携への協議事項として、店舗面(調剤併設型ドラッグストアの新規出店、両社既存店舗における調剤併設への転換)、運営面(調剤事業の運営効率化のためのノウハウ共有)、人的資源(薬剤師及び登録販売者のスキルの向上)、商品面(先発医薬品及び後発医薬品の仕入れ効率化)――の4点を挙げた。
マツキヨグループの調剤併設型ドラッグストアは、約1000店舗のうち130店舗ほど。松本社長は「本来ならば3000400店舗はやってもいい規模。薬剤師の確保・育成面、採用コストが非常にかかる上に、離職率も高いなど、様々な事情で進まなかった。(新販売制度の中で)生き延びていくには、地域に密着した調剤併設型のかかりつけドラッグストアを展開する必要があるが、単独でやるよりも、調剤チェーン大手として実績のある日本調剤と組むことが最適と判断した。来期には薬剤師の採用から教育面、仕入れ面などを手がけるジョイントベンチャーの新会社を立ち上げ、将来的には全店舗の5割、500店舗くらいを調剤併設型に持っていきたい」と述べた。資本関係については「資本提携をしなくても、効果は上げられる。早急に進めるよりは、まず実績を重んじていく考え」とした。
日本調剤の三津原社長は「OTC関係は、全売り上げの1%ほど。OTC販売に関しては素人であり、今後もスーパードラッグストアの展開とかは考えていない。最も得意とする大型門前薬局タイプは、売り上げの90%ほどを占めるが、(将来的には)成長に限界もある。面分業を志向した薬局のチェーン展開、そして後発医薬品関係の拡大など、お互いにメリットは多いと思う」とした。