第54回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会会長
山本信夫
福岡県薬剤師会会長
原口亨
日本は1961年開始の国民皆保険制度により世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準を実現している。この国民皆保険制度は、[1]国民全員を公的医療保険で保障[2]フリーアクセス[3]安い医療費で高度な医療[4]社会保険方式+公費による運営を基本とし、現役世代のみならず、全ての世代に対し安心を提供している。
医薬分業の進展に伴い、保険薬局は地域住民にとって身近なものとなった。政策的な背景によりスタートしたとも言われる当初の分業から数十年経ち、本質的な機能や役割による患者から評価される分業に向けた議論がなされる中で、薬剤師、薬局が評価されている一方、批判も存在している。あわせて、薬剤師、薬局には薬学的知見に基づく医薬品の適正使用に基づいた医療経済的な貢献も求められている。
本分科会では、医療経済や政策から見た薬局の現状と将来像について議論を進める予定である。まず、社会保険診療報酬支払基金の神田裕二理事長に、「患者のための薬局ビジョン」を取りまとめた当時の医薬食品局長としての思いや、その後の薬剤師・薬局に対する評価に関し私見も交えて講演いただく。県立広島大学大学院経営管理研究科の遠藤邦夫教授には、シンクタンクにおいて医薬分業や薬局関係に数多く携わってきた視点に基づき、これからの薬局について講演いただく。横浜市立大学医学群健康社会医学ユニットの五十嵐中准教授からは、薬剤師や薬局の活動について費用対効果の観点も交えた評価と期待について講演いただく。
最後に日本経済大学大学院経営学研究科の赤瀬朋秀教授から、経営学的視点に基づく薬局の戦略や、対人業務に基づく評価につながる実践について講演いただく。
これらの講演をいただいた上で、シンポジストの方々と討論し、今後の薬剤師と薬局の可能性を探りたい。
(原口亨)