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米食品医薬品局(FDA)は10月13日、食品に含まれるナトリウム量の短期間での自主的削減を目標に掲げた、食品業界やフードサービス業界向けの新たなガイドラインを発表した。この新ガイドラインでは、今後2年半の間に、米国人のナトリウムの平均摂取量を、1日当たり3,400mgから3,000mgに減らすこと(約12%の低減)が目標とされている。
米国人は年齢に関わりなく、推奨量の1.5倍のナトリウムを消費していることが、研究により報告されている。ナトリウムの摂取量を減らしたいと考える人は多いものの、米国人が摂取するナトリウムのおよそ70%は、包装食品や加工食品、レストランで提供される食事に由来するため、減らすことは容易ではないという。
FDA長官代理のJanet Woodcock氏は今回のガイドラインの発表について、「食事に関連して生じる心血管疾患や糖尿病などの慢性疾患の負荷を軽減し、健康格差を是正するための取り組みにおいて、われわれは重要な一歩を踏み出した。この新たなガイドラインを発表した今日という日は、米国民の健康にとって極めて重要な日となるだろう」と述べる。
このような措置が取られた背景についてWoodcock氏は、「食事に含まれる、ナトリウムのような特定の栄養素の摂取制限は、高血圧や心血管疾患などを予防する上で重要な意味を持つ。このような疾患は、人種/民族的マイノリティの人に偏って生じ、年間数十万人の命を奪い、数十億ドルの医療費を消費している」と説明する。さらに同氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、このような健康格差はさらなる広がりを見せた。心血管疾患やその他の基礎疾患はCOVID-19重症化のリスク因子であるため、食事に含まれる栄養素の改善が必要とされていた」と話す。
新ガイドラインでは、ナトリウムの1日当たりの平均摂取量の低減が推奨されてはいるものの、米国農務省と米国保健福祉省が発行する「米国人のための食生活指針」の中で、14歳以上の米国人の摂取量として推奨されている「1日当たり2,300mgまで」を満たすものではない。それでもFDAは、このような控えめなナトリウム低減でも、今後数年間で着実に実行されれば、食事に関連して生じる疾患の実質的な減少を見込めるとの見方を示している。
米国心臓協会(AHA)は、今回のFDAの措置を称賛する一方で、将来的にはさらなる低減を推し進める必要があると指摘する。AHAは10月13日に発表した声明の中で、「このような目標は、ナトリウム摂取量低減の重要な原動力となり、健康面に大きなベネフィットをもたらし、医療費の削減にもつながる可能性がある。食品業界やフードサービス業界の多くの企業は、食品中のナトリウム量を減らす取り組みにすでに着手している。われわれは、業界が一丸となって、この目標の達成に向けて努力を重ねていくことを強く奨励する」と述べている。
さらにAHAは、「1日当たりのナトリウム摂取量を3,000mgに減らしてもまだ十分ではない。さらに2,300mgまで減らすことで、45万例の心血管疾患の予防、質調整生存年の200万年の延長、そして20年間で約400億ドル(1ドル114円換算で約4兆5600億円)の医療費の削減を見込めると考えられる」と述べ、「FDAには、米国人が適切な摂取量を達成できるように、現在の措置に続き、食品中のナトリウム量をさらに低減するための追加目標を設けることを強く期待する」と付け加えている。(HealthDay News 2021年10月13日)
Source
https://consumer.healthday.com/fda-reduces-recommended-salt-levels-in-americans-food-2655293039.html
More Information
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/improve-nutrition-and-reduce-burden-disease-fda-issues-food-industry-guidance-voluntarily-reducing