加齢黄斑変性とは、老化に伴い網膜の中心に出血やむくみをきたし、視力が低下する疾患で、萎縮型と滲出型に分類される。滲出型は、網膜の後ろに存在する脈絡膜から、異常な血管である脈絡膜新生血管が突然発生することや活動化することによって生じる。進行が速く、治療をためらっていると深刻な障害を網膜に残してしまう。
米食品医薬品局(FDA)は9月17日、Samsung Bioepis社(韓国)のranibizumab-nuna(商品名Byooviz)を、滲出型加齢黄斑変性の治療薬として承認した。同薬は、ノバルティス社のラニビズマブ注射薬(商品名ルセンティス)のバイオシミラー(先行バイオ医薬品と同等/同質の品質、安全性、有効性を持つ医薬品)で、同適応に対する米国でのバイオシミラー承認は今回が初めて。同薬はまた、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫(網膜の静脈が詰まって黄斑部に液状の成分がたまることによるむくみ)や近視性脈絡膜新生血管(病的近視の人の5~10%に起こる眼底での出血やむくみ)の治療薬としても適応承認を受けた。
今回の承認は、「Byoovizがルセンティスのバイオシミラーであることを実証する、同薬の構造と機能の広範な特性評価、臨床効果比較と潜在的な免疫原性などの安全性評価」を含めたデータレビューに基づいたもの。FDAではこれまで、さまざまな疾患治療のために31のバイオシミラーを承認している。FDA医薬品評価研究センターのOffice of Therapeutic Biologics and Biosimilarsでディレクターを務めるSarah Yim氏は、「バイオシミラーの承認数を増やし続けることは、患者の治療選択肢を拡大し、競争を促し、潜在的にコストを削減する取り組みの鍵となる部分である」と述べている。
同薬は月に1回、硝子体内注射で投与を行う。投与によって引き起こされる可能性のある重篤な副作用には、眼内炎や網膜剥離、眼圧上昇、血栓塞栓性イベントなどがある。また、最も一般的な副作用として、結膜出血、眼痛、飛蚊症、眼圧上昇が報告されている。(HealthDay News 2021年9月23日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-biosimilar-treat-macular-degeneration-disease-and-other-eye-conditions