米食品医薬品局(FDA)は10月29日、5~11歳児に対するファイザー-BioNTech社製ワクチンの低用量での緊急使用を許可した。これにより、全米2800万人の小児に対するワクチン接種の道が開かれた。5~11歳児用ワクチンの用量は12歳以上の3分の1(10μg)で、3週間間隔で2回の投与が行われる。
米国では、5~11歳児のCOVID-19症例が、18歳未満の症例の39%を占めている。米疾病対策センター(CDC)によると、5~11歳児のCOVID-19による入院は約8,300件発生している。また、10月17日現在、COVID-19による18歳未満の死亡事例691件のうち、146件が5~11歳児の死亡事例として報告されている。
COVID-19に罹患した小児にはまた、多系統炎症性症候群(MIS-C)と呼ばれるまれな免疫疾患のリスクもある。10月4日現在、5,200人を超える全年齢の小児がMIS-Cを発症しており、そのうちの46人が死亡している。本疾患は、若年の小児において最も多い疾患と指摘されている。
今回の使用許可は、5~11歳児4,600人以上を登録した進行中のランダム化プラセボ対照試験の有効性データに基づいている。同試験は、米国、フィンランド、ポーランド、スペインで実施され、接種用ワクチンには、ファイザー-BioNTech社製COVID-19ワクチンが用いられた。FDAは264人の免疫応答を、2倍量のワクチンを投与した16~25歳の253人と比較したデータを解析。その結果、両者の免疫応答は同等であることが判明した。
FDAはまた、2回目の投与から7日後に発生したCOVID-19症例の予備分析も実施。事前にウイルス感染が認められなかったワクチン接種群1,305人のうち3人が、COVID-19を発症した。一方プラセボ群では、663人中16人がCOVID-19を発症した。COVID-19の予防に対するワクチンの有効率は90.7%であった。
臨床試験では一般的に、COVID-19ワクチンの副作用として注射部位疼痛(腕の痛み)、発赤と腫れ、倦怠感、頭痛、筋肉痛/関節痛、悪寒、発熱、リンパ節の腫れ、悪心、食欲不振などが報告されている。同試験において、ワクチンを接種した計1,444人の5~11歳児を対象に、2回目の投与から2カ月間以上にわたり安全性を追跡。その結果、1回目の投与後よりも2回目の投与後に、副作用を報告した小児が多かった。副作用の重症度は一般的に軽度~中等度であり、投与後2日以内に発生し、ほとんどが1~2日以内に消失していた。
FDA長官代行を務めるJanet Woodcock氏は、「私は母として、また医師として、両親・保護者、介護者、学校職員、そして子どもたち自身が承認を待ち望んでいたことを理解している。小児へのワクチン接種により、日常生活の正常化が近づくだろう。このワクチンは、治験結果に対する総括的、かつ厳格な検討を行った上で、高い評価基準を満たしたものである。したがって、われわれは、ワクチン接種を受ける小児の両親や保護者に対して、その安全性と有効性に関して自信を持って保証することができる」と述べている。(HealthDay News 2021年10月29日)
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https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-authorizes-pfizer-biontech-covid-19-vaccine-emergency-use-children-5-through-11-years-age