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米食品医薬品局(FDA)は、無症状かつ重症の大動脈弁狭窄症(AS)患者に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)であるEdwards Lifesciences社の「SAPIEN 3プラットフォーム」を承認した。この承認は、無症候の重症AS患者に対するTAVRとしては初めてのものだ。
同社によると、重症AS患者が治療を受けない場合、10人に1人は5週間以内に死亡する可能性があるという。しかし、重症ASの症状は発見が困難であり、進行が急速かつ予測不能な場合がある。
今回の承認の根拠となったEARLY TAVR試験では、無症候の重症AS患者901人のうち455人がTAVR群、446人が経過観察群にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、死亡、脳卒中、心血管疾患による予定外の入院の複合エンドポイントとした。患者の平均年齢は75.8歳で、米国胸部外科学会の予測死亡リスク(STS-PROMスコア:0~100%、スコアが高いほど術後30日以内の死亡リスクが高い)の平均スコアは1.8%だった。
その結果、追跡期間中央値3.8年の間に主要評価項目が発生したのは、TAVR群で122人(26.8%)、経過観察群で202人(45.3%)であり、TAVR群で有意なリスク低下が認められた(ハザード比0.50、95%信頼区間0.40~0.63、P<0.001)。TAVR群と経過観察群の患者の間に手技に関連した有害転帰の明らかな差はなかった。
米モリスタウン医療センター・Gagnon Cardiovascular InstituteのPhilippe Généreux氏は、「ASの治療においては、症状が現れるまで『経過観察』を推奨する現行のガイドラインを見直し、診療方針を早急に変更する必要がある。EARLY TAVR試験では、当初無症候と診断された患者が、突然、予測不可能な形で症状を呈するケースが見られた。このことは、心臓専門チームによる早期評価が、患者の転帰を改善し、医療制度に利益をもたらすために重要であることを強調している」と、Edwards Lifesciences社のリリースで述べた。(HealthDay News 2025年5月5日)
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https://www.nejm.org/doi/abs/10.1056/NEJMoa2405880