島津製作所は7日、トリプル四重極型高速液体クロマトグラフ質量分析計「LCMS-8065XE」を国内外で発売した。同製品は同社製のトリプル四重極(TQ)型液体クロマトグラフ質量分析計(LCMS)の基本性能を引き継ぎながら、さらに感度と頑健性を向上させている。同社はこの製品を主にPFAS(有機フッ素化合物)分析向けに販売し、急速に需要が拡大するPFAS分析市場の深耕を図っていく。

PFASは、包装紙などの日用品から半導体などの工業製品まで幅広く使われる一方、自然環境では分解されない「永遠の化学物質」として知られ、水質や生態系に影響を及ぼす。特に1万種以上の物質があるPFASのうちPFOSやPFOAは、がんや内分泌かく乱などの健康リスクが高まる。
欧米では規制が強化され、特に飲料水中のPFAS許容基準は厳しく、ppt(1兆分の1)レベルまで検出限界の引き下げが求められるなど、年々拡大するPFAS分析市場では高感度で多成分一斉分析ができる分析機器の需要が高まっている。
同製品は、同社が誇る超高速測定技術である「UF Technologies」に、イオン源の改良や検出器の最適化を施したことで、感度性能が大幅に向上している。PFAS分析メソッドや解析ソフトウェアを組み合わせたトータルソリューションを提供するほか、最新のユーザー支援技術によりラボと環境の負荷を低減している。
同社は同製品を通じ、社会価値創生領域と捉えるヘルスケアやグリーン分野における高感度PFAS分析ニーズに応えていく。
主な特長としては、同製品は、従来機種に搭載していた「IonFocus」機能に加え、ESIイオン源に新デザインの「StreamFocus」を採用していることが挙げられる。
試料を噴出するノズル径を絞ることでスプレーの広がりを抑制し、より高い効率でイオンを質量分析計に取り込める。また、入口レンズ径を拡大しレンズ枚数も追加した新型コリジョンセルの導入により、透過するイオン量を増やして感度を高めた。
また同社はLCMSだけでなく、分析メソッドや解析ソフト、カラムやバイアルなどの消耗品といった幅広いラインアップを有している。トータルソリューション「FluoroSuite」として、顧客それぞれのPFAS分析ニーズに応じた提案を行うことができる。
さらに、AI機能「パフォーマンス・コンシェルジュ」は、装置の状態を自動診断し最適な状態での分析をサポートする。また、装置自らが使用状況をモニタリングし自動でシャットダウンをする「エコロジーモード」を搭載しており、消費電力を従来比約3割削減している。
希望販売価格は、7150万円から(税込、システム構成によって異なる)。販売目標は、発売後1年間に国内外合わせて70台。