東北を地盤にドラッグストアを運営する薬王堂ホールディングス(本部盛岡市)は、新ビジョンに掲げる『東北から世界の健康をデザインする』を具現化する取り組みとして、東北の未利用資源(加工物の製造過程で発生する副産物など有効活用されていない資源)を活用した、素肌と環境にやさしい新たなスキンケアブランド「andOHU(アンオフ)」を開発し、今月から東北6県で350店舗超を展開する子会社薬王堂の全店で販売を開始した。
新ブランドは、岩手県奥州市にラボを持ち、独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させた化粧品原料などを開発・製造するスタートアップ企業、ファーメンステーション(東京墨田区)と薬王堂グループが共同で開発した。
ブランド名「アンオフ」は、奥羽と呼ばれる東北地方6県で育った素材を使用し、環境に優しく、自然と循環し、ユーザーとつながることで商品価値を生み出したいとの想いを込めた。ロゴマークは、六つの丸を各県に見立て、それぞれがつながり一つの商品を作り上げるイメージで、木の実をモチーフにシンプルなデザインとした。製品ラインナップは、クレンジングオイル、フェイスウォッシュ、モイスチャーローション、モイスチャーミルク、リップの全5アイテム。税別価格は600~1200円。
特徴は、地域に眠る未利用資源に着目し、環境に配慮したアップサイクル製法を取り入れている点。主な原料は、奥州産のオーガニック米、ヒマワリ、花巻産のヒエヌカ、一関産のハトムギ、ナタネ、クロモジ、ソメイヨシノなど、岩手に根づいた植物を採用している。アップサイクルとは、リユース(再利用)、リサイクル(再循環)と異なり、廃棄物や副産物など、従来不要と考えられたり有効活用されていないものを、様々なアイデアや手法でさらに価値の高いプロダクトに転換すること。
例えば、奥州市のラボでオーガニック米から国内唯一のオーガニックエタノールを精製し、作業工程から出た蒸留粕は牛や鶏など家畜の飼料として活用する。飼料を与えられた家畜からは食品への恩恵が得られ、その飼料を与えた鶏の糞を肥料として畑で使用し、ゴミゼロを目指した循環システムが構築されている。
「アンオフ」シリーズは、植物由来原料をベースに、ナチュラル処方にこだわっており、合成色素、合成防腐剤(パラベン)、合成香料、紫外線吸収剤、石油系合成界面活性剤、鉱物油の六つのフリー処方を実現。さらに、容器も植物由来の原料で、燃焼時のCO2を約60%削減した環境に配慮したものとした。
薬王堂取締役常務執行役員で、経営戦略本部長の西郷孝一氏は「東北全体で環境問題にも取り組んでいる商品であり、皆さんが同品を使うことで東北はもちろん、地球環境に貢献できる足がかりになればと願っている」と強調する。現在はECサイトを準備中で、今後はシリーズ充実も視野に入れる。