内閣官房長官が主宰する「厚生労働行政のあり方に関する懇談会」(座長:奥田碩・トヨタ自動車相談役)は、最終報告書をまとめた。薬務行政については、新薬承認や安全対策に従事する人員を増加させると共に、厚労省との一元的な組織体制も視野に入れて、医薬品医療機器総合機構の業務を検討するよう求めている。
会議席上、最終報告の提出を受けた河村官房長官は、「政府として、国民の目線に立った厚生労働行政の見直しにつなげていきたい」と述べた。また、桝添厚労相は、「大臣のガバナンスの強化は、ぜひ制度として実現したい」と意気込んだ。
最終報告書は、厚労行政運営の方向性を示した中間まとめに、年明け以降に議論した組織体制に関する意見を加えたもの。
組織全体のあり方としては、[1]大臣主宰の政策推進会議の設置や補佐スタッフ充実によるガバナンス強化[2]政策統括官組織強化等による総合的・制度横断的対応[3]プロジェクトチーム等の機動的編成や審議官の権限・責任を高めることによる部局官調整の円滑化[4]政策評価担当部署を活用したPDCAサイクルの推進――を提言。
個別分野については、▽少子化対策▽年金実務体制見直し▽医療・介護連携▽非正規労働者対策▽社会保障財源確保▽危機管理・安全確保体制の構築とグローバル化対応――を重点項目に掲げている。
このうち、危機管理・安全確保体制の構築とグローバル化対応では、24時間365日常駐体制をとっている省庁に準じた危機管理体制の確保の必要性を指摘。医薬品等の承認審査・安全管理を対象分野の一つに位置づけ、新薬承認までの期間を現在の平均4年から1年半に短縮するために体制を強化すべきとした。
また、医療・介護連携では、医政、保険、老健の3局が整合的に政策の立案・実施ができるよう、審議官の任務を見直し、総合的な政策方針の策定や局横断的調整を担当するよう求めている。2012年の診療報酬・介護報酬同時改定に間に合わせるよう期限も付けた。
厚労省は、最終報告を踏まえて厚労省改革の工程表を改訂し、組織体制を見直していく予定だ。