米食品医薬品局(FDA)は10月19日、ノババックス社が開発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の組み換えタンパクワクチンを1回目のブースター接種(追加接種)に用いることに対して、緊急使用許可(EUA)を与えたことを発表した。ノババックス社製のワクチンはこれまで、プライマリーシリーズとしてのみEUAが与えられていた。
接種対象は、プライマリーシリーズの接種完了から6カ月以上が経過した18歳以上の成人で、ファイザー社製やモデルナ社製のmRNAワクチンを接種できない状況にある人、あるいはブースター接種としてmRNAワクチンよりノババックス社製のワクチンを好む人である。
ノババックス社製のワクチンは、新型コロナウイルスの表面にあるスパイクタンパク質をコードする遺伝子の情報を基に作った組み換えタンパク質を用いた、不活化ワクチンの一種である。ワクチンには、免疫の活性を促すためのアジュバントが添加されている。なお、同様の手法で開発されたワクチンには、B型肝炎ウイルスや百日咳のワクチンがあるという。
今回のEUAは、第3相試験(PREVENT-19)と英国で実施されたCOV-BOOST試験のデータに基づいている。第3相試験では、プライマリーシリーズの接種からおよそ8カ月または11カ月が経過した18歳以上の健康な成人に対するブースター接種として、ノババックス社製のワクチンを接種した。接種後、ブースター接種前と比べて抗体レベルが有意に上昇し、防御効果が期待できるレベルを上回ったことが確認された。中和抗体価も接種前と比べて27〜34倍に増加していた。また、COV-BOOST試験でも、ブースター接種としての同ワクチンの接種により、抗体価が増加したことが確認された。
ブースター接種後の局所反応および全身反応の持続期間は、中央値で約2日間だった。グレード3以上の有害事象の発生率は相対的に低いままだった。ブースター接種後に生じた有害事象は、注射部位の痛み/圧痛(81.1%)、倦怠感・不快感(63.4%)、筋肉痛(63.0%)、頭痛(52.9%)、関節痛(30.3%)、吐き気・嘔吐(14.7%)、注射部位の腫れ(8.4%)、注射部位の発赤(6.3%)、発熱(6.3%)だった。
ノババックス社の社長兼CEOを務めるStanley Erck氏は同社のニュースリリースで、「米疾病対策センター(CDC)のデータによると、プライマリーシリーズの接種を完了した成人のほぼ50%は、まだ1回目のブースター接種を受けていない。われわれが提供した新たなワクチンの選択肢により、これらの成人でのブースター接種率が高まる可能性がある」と述べている。
公衆衛生当局は、ブースター接種を奨励している。CDCのデータによると、米国居住者では、約68%がプライマリーシリーズの接種を完了しているが、ブースター接種を受けたのはわずか33.5%にとどまるという。今回のEUAを受け、米国で利用可能な新型コロナワクチンは計4種類となった。(HealthDay News 2022年10月20日)
Source
https://consumer.healthday.com/novavax-covid-vaccine-2658478687.html
(参考情報)
More information
https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/novavax-covid-19-vaccine-adjuvanted