厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は18日、積み残しとなっていた12件の適応外薬のうち、4件は医療上の必要性が高いと結論付け、8件は国内開発を見送ることで合意した。これにより、一昨年、学会や患者団体から集まった要望374件の評価作業を完了した。既に承認された未承認薬1件、適応外薬3件を除くと、検討会議を通じて未承認薬57件、適応外薬129件の国内導入が進むことになる。
国内導入の必要性が高いと判断された合計186件の疾患領域別内訳は、▽代謝・その他20件(未承認8件、適応外12件)▽循環器31件(9件、22件)▽精神・神経31件(10件、21件)▽抗菌・抗炎症28件(5件、23件)▽抗癌42件(11件、31件)▽生物5件(3件、2件)▽小児29件(11件、18件)‐‐で、ドラッグ・ラグの象徴として指摘されることが多い抗癌剤が最も多かった。
検討会議ではまた、厚労省が昨年12月までに企業へ開発要請した品目について、企業の対応状況の点検も行った。その結果、特段の事情がなく大きく遅れているものがないことを確認した。
このほか、開発要請した適応外薬のうち、10件の効能追加等に関する公知申請の妥当性報告書をまとめた。対象となるのは、[1]ネフローゼ症候群に対するエンドキサン[2]クッシング症候群に対するメトピロンカプセル[3]セルセプトカプセルの腎移植における拒絶反応抑制の小児適応[4]FIP1L1‐PDGFRα融合遺伝子陽性の慢性好酸球性白血病などに対するグリベック[5]無症候性で切除不能な転移性のカルチノイド腫瘍に対するサンドスタチン[6]ハーセプチンのHER2過剰発現の乳癌術前補助化学療法、[7]ハーセプチンのHER2過剰発現の転移性乳癌の新用法・用量[8]乳癌に対するパラプラチン[9]ジフルカンの小児用法用量[10]ジフルカンによる真菌感染症予防。今後、薬事・食品衛生審議会医薬品部会の事前評価で認められれば、薬事承認前に保険適用されることになる。